裕子の本棚
舞って件のごとし

舞って件のごとし

小野寺S一貴 KADOKAWA 2026年3月16日

感想

この本の面白さには、本当に引き込まれてしまいました。神社ツアーの提案から始まる冒険なのですが、ただの旅の話ではなくて、日本の歴史や結界術といった深い知識が織り交ぜられているんです。 龍神ガガと新しく登場する美夜件という予言獣のキャラクターが楽しくて、二人の掛け合いを読んでいるだけで笑顔になります。年を重ねた私でも、こういう軽妙でユーモアのある描写は心がほぐれますね。 そして何より素晴らしいのは、バラバラに見える歴史の出来事が少しずつ繋がっていく過程です。徳川家康の結界術や平安京の陰陽道の話なんて、学校では教わらない興味深い知識で、読んでいて「へえ、そんなことがあったのか」と感心しきりでした。 仙台から全国を巡る旅の描写も丁寧で、まるで自分も一緒に旅をしているような気分になります。怨霊たちの真実にたどり着く場面は、思わず目を離せなくなってしまいました。気軽に読める小説でいながら、歴史への好奇心も満たしてくれる、そういう素敵な一冊です。