裕子の本棚
ラブカは静かに弓を持つ

ラブカは静かに弓を持つ

安壇 美緒 集英社 2022年5月2日

感想

このところ孫の音楽発表会が続いていたせいか、タイトルの「チェロ」という言葉が目に留まって手にした一冊です。スパイものなんて今まで読んだことがなかったのですが、こんなに素敵な作品があるんですね。 主人公の橘さんという方が、心に傷を抱えながら潜入調査という任務に向き合う様子が、とても丁寧に描かれていました。最初は任務のために音楽教室に通うのですが、そこで浅葉先生との出会いや、仲間たちとの関係が少しずつ心を温かくしていく。その過程が本当に優しくて、読んでいて自分まで温かい気持ちになりました。 チェロという楽器の描写も美しく、音が聞こえてくるようでした。パートの仕事が終わった後、疲れているはずなのについ続きが気になってしまい、何度も夜更かししてしまいました。スパイと音楽という組み合わせが絶妙で、どちらの要素も大切に扱われていて好感が持てます。こういう感動的な作品、もっと出会いたいです。