ラブカは静かに弓を持つ

ラブカは静かに弓を持つ

安壇 美緒

出版社:集英社 出版年月日:2022/05/02

集英社 | 2022/05/02

3.50
本棚登録:5人

みんなの感想

感想

音楽は自由に見えて、実はとても管理されている。 この物語は、その“管理する側”から描かれる。 タイトルの「弓」は武器かと思いきや、チェロの弓。 このセンス、好き。 主人公・橘は著作権団体の職員。 使用料を探るため、音楽教室に生徒として潜入するスパイ。 でもそこは、ゆるくて温かい大人の教室。 仲間ができてしまった時点で、苦しい。 バレる怖さより、裏切る苦しさがずっと重い。 読んでるこっちの胃も痛い。 人と音を合わせる気持ちよさ。 その絆を壊すかもしれない罪悪感。 音楽はそれでもやっぱり救いで 優しさと切なさが残る物語

感想

このところ孫の音楽発表会が続いていたせいか、タイトルの「チェロ」という言葉が目に留まって手にした一冊です。スパイものなんて今まで読んだことがなかったのですが、こんなに素敵な作品があるんですね。 主人公の橘さんという方が、心に傷を抱えながら潜入調査という任務に向き合う様子が、とても丁寧に描かれていました。最初は任務のために音楽教室に通うのですが、そこで浅葉先生との出会いや、仲間たちとの関係が少しずつ心を温かくしていく。その過程が本当に優しくて、読んでいて自分まで温かい気持ちになりました。 チェロという楽器の描写も美しく、音が聞こえてくるようでした。パートの仕事が終わった後、疲れているはずなのについ続きが気になってしまい、何度も夜更かししてしまいました。スパイと音楽という組み合わせが絶妙で、どちらの要素も大切に扱われていて好感が持てます。こういう感動的な作品、もっと出会いたいです。

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