図書館で見かけて、なんとなく手に取った本でした。帯の文句が胸に響いたんです。正義と現実のはざまで揺れる人生──それって、私たちの誰もが何らかの形で経験していることではないかしら。 この小説は、大企業という大きな組織の中で、信念を貫こうとした一人の労働者の歩みを描いています。読んでいて思ったのは、著者の言葉選びの優しさです。重いテーマなのに、決して説教的にならず、ちょうど人生の峠を越えてきた私の心に静かに響き渡ってきました。 青春時代の迷い、上京してからの葛藤、仲間との絆──各章が無理なく流れていて、気持ちよく読み進められます。特に人間関係の描き方がいいですね。きれいごとではなく、複雑で、だからこそ真実味がある。 78年生きてきた私が読んでも「ああ、わかるわ」と共感できる部分がいくつもありました。人生ってこんなもの、という達観ともちょっと違う、温かみのある世界観が好きです。気軽に読めるけれど、心に残る。そういう本、いいですね。
最近登録された他の本の感想
2026年06月01日
新装版ということで、表紙が新しくなったこのファンタジーを手に取ってみました。少女が城に潜入するという設定は面白そうですし、累計350万部超というのも目を引きます。 読み始めてみると、確かに物語には引き込まれます。登場人物たちがそれぞれに悩み、苦しみながら前に進もうとする姿が伝わってきました。特に主人公の少女とその周りの人間関係が丁寧に描かれている印象です。 ただ、正直なところ、とても新鮮だとか、目からウロコが落ちるような経験というわけではありませんでした。ファンタジーの基本的な要素はしっかり押さえてありますが、昔からよく見かけるパターンという感じがしてしまって。年を取った身からすると、「あ、この流れは見たことがあるな」と思ってしまうことが多かったんです。 面白くないわけではないんですよ。むしろ安定した読み心地で、気軽に読むには良い本だと思います。でも、わざわざ新装版を買ってまで再度読む必要があるかといわれると、迷ってしまうくらいの感じです。
2026年06月01日
文庫本の手軽さが好きなので、伊坂幸太郎さんの本は時々手に取ります。この『フィッシュストーリー』も図書館で見かけて、思わず借りてきました。 表題作を含めた四つの短編が入っているんですが、どれも設定が変わっていてね。時間を超えて繋がっていく話だとか、黒澤という人物が活躍する話だとか。読んでいて「あ、こういう仕掛けなのか」と気づく瞬間は楽しいです。最後はスッと胸のすくような終わり方になっていて、そういう爽快感は好ましい。 ただね、率直に申し上げると、全体を通して「いいな」と感じるところもあれば「ちょっと難しいな」と感じるところもあって、心がぐっと掴まれるほどではなかったんです。物語として上手く構成されているのはわかるんですが、私のような年寄りには、もう少し素直な物語の方が好みかもしれません。 78歳ですから、これ以上難しい話を追うのはなかなかね。でも伊坂さんのユニークな想像力は嫌いじゃありませんので、また別の作品を読んでみるかもしれませんね。
2026年06月01日
表紙のきれいなピンク色に惹かれて手に取った一冊です。「お姫さまマインド」という言葉の響きも素敵だなと思いました。 ただ、読んでみると、著者の言いたいことはわかるのですが、私のような年寄りには少し浮世離れしているような気がしてしまいました。「自分を大切にする」「人生の主人公になる」という考え方は良いのですが、現実的ではないと感じる部分が多かったのです。 78年も生きていると、人生というのはそう都合よくはいかないものだと知っています。もちろん、ポジティブな考え方は大事ですし、自分を肯定することも必要です。でも、この本の言う「降参するほどうまくいく」という話は、若い時代だからこそ響く言葉なのかもしれませんね。 読みやすくて、気軽に手に取れる文体なのは良かったのですが、私の人生経験とのズレを感じてしまい、もう一度読もうという気になりませんでした。若い女性には役に立つ本かもしれません。
2026年05月06日
ファンタジー小説ということで手に取ってみたんですが、正直なところ、ついていくのが大変でした。登場人物がたくさんいて、話の筋も複雑になっていて、これまでのシリーズをしっかり読んでいないと、ちょっと理解しづらいんですね。 元々、気軽に読める物語を探していたので、もう少し分かりやすく、読みやすい展開だといいなあと思いました。ゲームの特典コードがついているというのも、どういった本なのか、ちょっと迷った部分です。 悪い本だとは思いませんが、私みたいな年配の読者には、もう少し親切な構成だと嬉しいかなあというのが正直な感想です。若い方で、こういった冒険ファンタジーが好きな人には面白いんだろうなって想像します。
2026年05月06日
もう15巻も出ているんですね。このシリーズ、毎回欠かさず読んでいます。くるねこさんのところに集まってくる猫たちのエピソードは、本当に温かくて心がほっこりします。 今回も拾われた子猫たちの成長の様子や、先輩猫たちとの関係が丁寧に描かれていて、読んでいて思わず笑顔になってしまいました。特に新しい子たちがおうちに慣れていく過程を見ていると、こちらまで幸せな気持ちになるんです。 70代になると、こういった優しい気持ちになれる本がありがたいですね。パート帰りの疲れた時間も、この本を開くとすぐに癒されてしまいます。猫たちの個性あふれる行動一つ一つが、こんなに人を和ませることができるんだなあと改めて感じました。 描き下ろしの番外編も新鮮で、シリーズを長く愛読している者としては嬉しい配慮です。いのちの大切さを穏やかに学べるこのシリーズ、これからも応援し続けたいです。
2026年05月06日
この本、手に取ったときから何か不気味な感じがして、つい引き込まれてしまいました。怪談の類いは昔からけっこう好きなんですが、この「死ぬ消える終わる怪談」は本当に独特ですね。 ただ怖いだけじゃなくて、人間がどうしようもない不幸に落ちていく様子が、妙にリアルに描かれているんです。祟りとか呪いとか、そういう目に見えない恐怖が、確実に人の人生を壊していく。読んでいて背筋が凍る思いがしました。 それぞれのお話は短めなので、寝る前に少しずつ読むのに丁度いい。長編だと疲れちゃう年代ですが、これなら無理なく楽しめます。最後は切なさと恐ろしさが混じった、不思議な余韻が残りますね。 パート帰りに疲れた頭をスッキリさせてくれる、不思議な魅力がある一冊です。本当に良い本に出会えたなと思います。
2026年05月06日
孫に「おばあちゃん、算数のここわかんない」と聞かれたことがきっかけで、この本を手に取ってみました。算数が苦手な大人向けの解説本ということで、興味を持ったんです。 分数の割り算やつるかめ算など、なぜそういう解き方をするのか、その理由を丁寧に説明してくれるのは良いですね。長年モヤモヤしていた部分がスッキリすることもありました。特に速さの問題については、わかりやすく図解してくれているので、孫にも説明しやすくなった気がします。 ただ、全体的には「可もなく不可もなく」という印象です。確かに理屈は理解できるんですが、ちょっと説明が細かすぎて、老眼の私には読むのが疲れるところもあります。もっとシンプルに、ポイントだけ押さえた内容でもよかったのかなあ。 それでも、算数に自信がない方や、子どもに教える立場の方には役立つ一冊だと思いますよ。気軽に読める参考書という感じで、パート帰りに少しずつ読むのには丁度いいですね。
2026年05月06日
孫からおすすめされた森見登美彦さんの作品です。最初は難しいのかなと思いましたが、読んでみたら京都を舞台にした不思議で楽しいお話で、すぐに引き込まれてしまいました。 主人公の女の子が、好きな人を追いかけて京都中を歩き回る。その過程で出会う変わった人たちや、起こる出来事の数々が、くすっと笑えてしまいます。見知った京都の風景が、こんなに素敵に描かれているんだなと新しい発見もありました。 何より嬉しいのが、この愛蔵版の装い。金箔押しで函入りという豪華な仕様。年を取ると、本当に好きなものだけを側に置きたいという気持ちが強くなるんですが、この本はそういう「ずっと大事にしたい」という気持ちにぴったり応えてくれています。 ページをめくるたびに、思わず笑顔になる。そんな素敵な読書時間をくれる本です。同じ年代の方にも、若い方にも、ぜひ手に取ってもらいたいなと思います。
2026年04月06日
この本は本当に良かったわ。渋谷龍太さんのエッセイということで、正直最初は音楽の話ばかりなのかと思っていたのだけど、全くそんなことはありませんでした。 日常の何気ないことを本当に素敵な視点で書いているのね。「箸置きとコースター」だなんて、私たちの生活にあるものばかりなのに、読むとなるほどな、と思わせてくれる。人生長く生きていると、こういう「ああ、そっか」という発見がうれしいものです。 それに小説も素敵。「幸せ」や「夢」という大きなテーマを扱っているのに、押しつけがましくなくて、さらりと読めてしまう。78歳の身としては、人生を振り返りながら読むのが格別です。 文庫ではなく単行本だから目も疲れにくいし、パート帰りにぼんやり読むのにちょうどいい。真面目すぎず、でも心に残る。こういう本は本当に大好きです。また読み返したくなる一冊ですね。
2026年04月06日
この本、本当に面白くて一気読みしてしまいました。多田さんと行天さんというふたりの男性が繰り広げる日常のお話なんですけど、何というか、こんなに笑わせてくれる小説があるんだなって感動しましたよ。 便利屋という舞台設定も素敵で、ペットを預かったり、塾の送迎をしたり、納屋の片付けをしたりという、本当にありふれた仕事なのに、そこからこんなに素敵なストーリーが生まれるんですね。ふたりの掛け合いが自然で、読んでいると友人同士の会話を聞いているみたいな感覚になります。 パート仕事の帰りに、疲れた時なんかに読むと、心がほっこり温かくなるんです。重くない話なので、気軽に楽しめるのがいいですね。直木賞を受賞した作品というのも納得できます。これからもこういう癒されるような小説をもっと読みたいなって思いました。文庫本のサイズも持ち歩きやすくて、待ち時間とかに読むのにぴったりです。
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