雄一の本棚
なずな蕎麦 花暦 居酒屋ぜんや

なずな蕎麦 花暦 居酒屋ぜんや

坂井 希久子 角川春樹事務所 2026年5月15日

感想

久しぶりに「ぜんや」シリーズの新刊を手に取った。相変わらずの居酒屋の日常を舞台にした連作エッセイだが、10巻目ともなると人物像や店の空気感も馴染み深い。 季節の移ろいとそこに集う人々の営みを綴るというコンセプトは一貫していて、読みやすい。ただ、正直なところ、今作は特に新しい驚きや深い感動が少なかったというのが率直な感想だ。いつもと変わらない温かみはあるのだが、ちょっとマンネリ気味に感じてしまった。 自営業をしていると、いろんな人間関係や人生模様に接する機会が多い。そういう意味ではこの作品の「人間観察」の視点は共感できる部分も多い。ただ、シリーズが長くなるほど、もう少し踏み込んだ思考や問いかけがあってもよかったかなと思う。 気軽に読む分には十分だし、繰り返し読みたい良さもある。ただ、特別に勧めたいかというと、そこまでではないというのが正直なところだ。

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