旅をする木

旅をする木

星野道夫 / 星野 道夫

出版社:文藝春秋 出版年月日:1999/03/10

文藝春秋 | 1999/03/10

4.00
本棚登録:3人

みんなの感想

感想

1978年からアラスカで写真を撮り続けた著者による33篇のエッセイ集。豊かな自然描写と、そこに暮らす先住民や開拓者たちの人生が静かに綴られています。 正直なところ、期待していた以上のめくるめく感動というわけではありませんでした。アラスカの雄大さや厳しさ、そこに生きる人々の営みについては確かに味わい深く、ページを重ねるごとに著者の眼差しの繊細さが伝わってきます。ただ、エッセイとしてはやや冗長に感じる部分もあり、もう少し切れ味があってもよかったかなという印象です。 それでも、自営業で日々の仕事に追われている身としては、こうした異郷での営みを通じて人生とは何かを静かに問い直すような章もあり、読んでいて思考が少し柔らかくなるような感覚は覚えました。特に人間と自然の関わり方についての記述は、忙しさの中で忘れかけていたことを思い出させてくれます。 決して傑作とは言いませんが、疲れた時間に読むにはちょうどよい、落ち着いた一冊だと思います。

感想

旅をする木を読み終えて、しばらく本を置いたまま窓の外を眺めていました。アラスカという遠い土地の話なのに、なぜか心がふわりと浮くような感覚に包まれていたんです。 著者がアラスカの大地で撮影した写真とエッセイを組み合わせた作品なんですが、本当に素敵だなあと思ったのは、その季節の移ろいや動物たちの営みを描く筆致の優しさです。厳しい自然の中で人々がどう生きているのか、先住民族のことも白人開拓者のことも、決して難しくない言葉で丁寧に綴られています。 パート帰りの疲れた頭でも、するすると読める。それでいて、一篇一篇が心に残る深さがある。定年を迎える年代だからこそ、人生の最後の章で何を大切にするか考えさせられる部分もありました。 アラスカに行ったことはありませんが、この本を読んでいると、自分も一緒にあの大地に立っているような気がしてきます。人生経験が長い読者だからこそ味わえる、素敵な一冊だと思います。

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