なずな蕎麦 花暦 居酒屋ぜんや

なずな蕎麦 花暦 居酒屋ぜんや

坂井 希久子

出版社:角川春樹事務所 出版年月日:2026/05/15

角川春樹事務所 | 2026/05/15

4.00
本棚登録:2人

みんなの感想

感想

久しぶりに「ぜんや」シリーズの新刊を手に取った。相変わらずの居酒屋の日常を舞台にした連作エッセイだが、10巻目ともなると人物像や店の空気感も馴染み深い。 季節の移ろいとそこに集う人々の営みを綴るというコンセプトは一貫していて、読みやすい。ただ、正直なところ、今作は特に新しい驚きや深い感動が少なかったというのが率直な感想だ。いつもと変わらない温かみはあるのだが、ちょっとマンネリ気味に感じてしまった。 自営業をしていると、いろんな人間関係や人生模様に接する機会が多い。そういう意味ではこの作品の「人間観察」の視点は共感できる部分も多い。ただ、シリーズが長くなるほど、もう少し踏み込んだ思考や問いかけがあってもよかったかなと思う。 気軽に読む分には十分だし、繰り返し読みたい良さもある。ただ、特別に勧めたいかというと、そこまでではないというのが正直なところだ。

感想

「花暦 居酒屋ぜんや」シリーズもついに第10巻。もう十年も一緒に歩んできたんですね。毎回この本を手にするたびに、ほっと安心するような気持ちになります。 居酒屋ぜんやでの出来事は、どれも心がじんわり温まるエピソードばかり。登場人物たちの複雑な思いや、人生の機微を丁寧に描いた話の数々に、読むたびに自分の人生を重ねてしまいます。人間関係の悩み、年を重ねることへの迷い、そんなことがこのお店で少しずつ解きほぐされていくような感じがするんです。 この10巻を読んでいて思うのは、著者の人間観察の深さです。さり気ない日常の会話の中に、その人の本当の気持ちが隠れていて、それをちゃんと見つめている。だからこそ話が生きているんでしょう。 このシリーズは、せわしない日々の中で、ふっと立ち止まりたくなるような、そんな時間をくれます。私くらいの年代だからこそ余計に、琴線に触れることばかりです。次のシリーズも楽しみにしています。

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