ゆーきの本棚
感想

最近、新聞の書評欄で目に留まったこの作品を手に取ってみました。アガサ・クリスティの作品とのことで、かねてから興味があったのです。 読み始めてすぐに引き込まれました。一見すると順風満帆な人生を送る女性が、ふとしたきっかけで自分の人生に疑問を抱くようになるという設定。こうした心理の揺らぎをここまで繊細に、そして流麗に描く筆致には本当に感心させられます。長年生きてきた自分にとって、人間関係や人生の選択についての深い問い掛けが、静かに心に届いてくるのです。 特に印象的だったのは、主人公が抱く愛情への疑問が、決してドラマティックではなく、むしろ日常のなかでじわじわと進行していく様子です。人生経験を重ねた者だからこそ、その微妙な心理変化が痛いほどよく理解できました。 文庫本としても手頃なサイズで、落ち着いて読むのに丁度良い。80を過ぎた今だからこそ出会えた、そんな一冊になりました。話題の本という評判も納得です。

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