ゆーきの本棚
ファイア・ドーム(上)

ファイア・ドーム(上)

辻村 深月 小学館 2026年6月5日

感想

辻村深月がデビュー22周年の節目に渾身の力で書き上げたという帯の言葉に惹かれて手に取りました。25年前の誘拐殺人事件と、現在の新たな事件が繋がっていくという構成が実に巧妙です。 地方都市を舞台に、「噂」という目に見えない炎がどのように人々を焼き尽くしていくのか。被害者すら加害者扱いされるという現代的なテーマが、これほどまでに深く掘り下げられているとは。作者の社会への眼差しの鋭さが伝わってきます。 上巻を読み終わって感じるのは、事件の真実を知りたいという欲望と、その背後にある人間心理への問い掛けです。私たちは本当に何を求めて、大きな事件に魅了されてしまうのか。その問いが随所に散りばめられており、単なるミステリーの枠を超えた傑作だと思います。 下巻への期待で、もう心待ちにしております。年を重ねるほどに、こうした深い問題提起をする小説の価値がわかるようになりました。ぜひ多くの読者に手に取っていただきたい一冊です。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ