雄一の本棚
感想

長年、新聞や週刊誌で報道される出来事を疑問に思いながらも、その背景まで深く考える余裕もなく過ごしてきた。この本はそうした私の姿勢に問いを投げかけた。 ノンフィクション作家による1200日の執念的な取材記録という触れ込みに惹かれて手に取ったが、期待を大きく上回る内容だった。国家権力、官僚機構、メディア、司法が関わるとされる事件について、既存の報道では決して見えない視点が綴られている。著者が直面したと思われる外部からの圧力や黙殺の状況を読むたびに、この国の民主主義の根幹について改めて考えさせられた。 520ページという分量に最初は躊躇したが、一度読み始めると引き込まれた。細部にわたる取材を積み重ねた筆致は、単なる陰謀論ではなく、実証的で説得力がある。慎重に情報を判断する習慣のある身としても、この著作は極めて信頼に値すると感じた。 法治国家であることの本質を問う、今の日本で最も必要とされる一冊だと考える。