雄一の本棚
光のとこにいてね

光のとこにいてね

一穂 ミチ 文藝春秋 2022年11月7日

感想

本屋大賞の上位作というので、期待と不安が入り混じって手に取った一冊です。ここ数年、話題作の多くが私の好みに合わないことが多かったので、慎重になっていたのです。 しかし、読み始めてすぐに引き込まれました。階級の違う二人が出会う古びた団地の物語なのですが、その描写の丁寧さ、心理描写の繊細さに、ページをめくる手が止まりません。著者は、何気ない日常のなかに、どれほどの感情の重みが隠れているかを知っている人なのだと感じます。 人生経験を重ねた今だからこそ、この物語が持つ重さが理解できるのだと思います。若い頃に読んでいたら、また違う感想を持ったかもしれません。恋愛小説としてだけでなく、運命と選択についての深い問い掛けが、読み終わった後も心に残ります。 完璧とは言いませんが、久しぶりに「良い小説を読んだ」という充足感が得られました。同年代の方や、人生に疲れた方にも推したい一冊です。

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