雄一の本棚
アルジャーノンに花束を新版

アルジャーノンに花束を新版

ダニエル・キイス / 小尾芙佐 早川書房 2015年3月13日

感想

長年、様々な文学作品に接してきましたが、この作品は確かに世評の通りの傑作だと実感しました。 チャーリイという一人の青年の劇的な変化を通じて、知能と人間性、幸福と不幸の本質が問い直される。その構成の見事さに、まず引き込まれます。進歩報告書という形式で描かれるチャーリイの心情の変化は、読む側の感情をも大きく揺さぶります。 特に印象深かったのは、知能の向上に伴う人間関係の変化です。かつての優しさが失われ、知識による傲慢さが生まれる様。そして、それらすべてを見つめ直す場面。人生経験を積んだ身だからこそ、その葛藤の深さが痛いほど理解できました。 何度も出版されてきた作品ですが、この新版は訳者のあとがきが著者追悼となっており、改めてこの作品の重さを感じさせます。慎重に本を選んでいた私ですが、この作品は躊躇なく推奨できます。万人の心を揺さぶる、本当に素晴らしい一冊です。