雄一の本棚
小さな故意の物語

小さな故意の物語

東野 圭吾 講談社 2026年4月15日

感想

東野圭吾の入門書として手にとってみました。手軽な文庫本ということもあり、気張らず読み進められるだろうという期待もありました。 三作品の収録ですが、正直なところ、どれも及第点といったところでしょうか。「冷たい灼熱」は愛情と孤独の機微を描いているようですが、短編だからか掘り下げが物足りない。「しのぶセンセの推理」は軽めのミステリとしては悪くないものの、特に印象に残る仕掛けもない。標題作の「小さな故意の物語」も同様で、タイトルの意味は納得できますが、読後に何か心に残るものがあるかというと、そうでもありません。 ただし、新聞掲載作や雑誌掲載作を集めたものとしては、東野圭吾の多面性を知るには良い教材かもしれません。特に長編小説を手がけることが多い著者が、短編でどう工夫しているかを見る価値はあります。 正直、長編の傑作を先に読んだ身としては、この文庫は「入門用」というコンセプトの通り、初心者向けという印象が拭えません。既読者には新しい発見は期待しにくいでしょう。

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