雄一の本棚
京都もっと深掘りさんぽ

京都もっと深掘りさんぽ

グレゴリ 青山 小学館 2026年3月6日

感想

京都をこよなく愛する人間にとって、この本は実に興味深い一冊だ。漫画エッセイという形式で京都の「深掘り」を行うというコンセプト自体が、私のような思慮深く読書を選ぶ人間の心を掴んだ。 本書で特に感心したのは、単なる観光ガイドに終わらない視点である。三千以上あるお地蔵さんの話、「いけず石」の由来、老舗石材店での石燈篭の深掘りなど、京都という街の層を丁寧に剥いていくアプローチが実に知的だ。鴨川運河の橋を一之橋から南へ制覇していく企画も、街を知る喜びが感じられる。 山科の稲荷塚ご利益めぐりや、大石内蔵助の隠れ住んだ岩谷寺など、歴史と現在が交差する場所への目配りも素晴らしい。上賀茂神社パンフェスティバルやうどんライブハウスといったマニアックなスポットまで、著者の好奇心の向かう先に引き込まれる。 漫画という親しみやすい表現と、掘り下げられた知見のバランスが絶妙だ。京都をよく知る大人だからこそ味わえる、第三弾ならではの深さがある一冊である。

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