読書メモの本棚
自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学

自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学

しんめいP サンクチュアリ出版 2024年4月23日

80歳にもなると、人生で様々な考え方に出会ってきたが、この本は実に興味深い。東洋哲学を現代的に解釈した内容で、難しいはずの思想が驚くほど分かりやすく説かれている。著者の「超訳」というアプローチが効いているのだろう。 自営業で長年、人間関係や経営判断の中で生きてきた身からすると、孔子や老子、仏教の考え方がいかに実用的かが改めて理解できた。「自分とか、ないから」というタイトルも、一見すると禅的で不可思議だが、読み進めるにつれて腑に落ちる。執着を手放すことの大切さ、ありのままに生きることの自由さ——これは長年の経験則と合致する。 今の世の中、若い人たちは生きづらさを感じているという話をよく聞く。そんな彼らにとって、この本は羅針盤になるのではないだろうか。論理的でありながら、どこか人間らしい温かみもある。話題になるのも納得である。人生の総仕上げの時期だからこそ、こういう本に出会えるのは幸いだ。