読書メモの本棚
感想

話題の直木賞受賞作だというので、つい手に取ってしまった。最近は新聞や雑誌で良く見かける作品だったからね。 中年男性たちの人生の「中途半端」な局面を描いた短編集。妻との関係、子どもとの距離感、そして自分自身の変化——これらは確かに、人生経験を重ねた者なら共感しやすいテーマだ。著者の視点は優しく、登場人物たちへの向き合い方も丁寧だと感じた。 ただ正直なところ、読み終えての充足感は中程度といったところだろうか。短編という形式の制限もあるのだろうが、各話の深掘りが物足りない気がした。「心に効く」というふれ込みだが、私自身はどこか距離を感じてしまった。人生経験の差、あるいは世代による感受性の違いかもしれない。 それでも、各所で目にする理由は理解できる。若い読者たちにとっては、自分たちの親の世代を理解する手助けになるのだろう。そういう意味では、いい橋渡し役になっている作品だと思う。新刊本として、今この時期に読む価値はあるだろう。