読書メモの本棚
世界観をつくる

世界観をつくる

水野学 / 山口周 朝日新聞出版 2025年12月5日

感想

最近、生成AIの話題がどこかしこかで聞こえてくるので、その流れで手に取ってみた。「世界観をつくる」というタイトルに惹かれたのもある。 読んでみると、確かにビジネスとクリエイティブの接点について、俊英二人が丁寧に説いている。情報を意味づけし、それを価値に変えていくという考え方は、自営業を長くやってきた身としても納得できる部分がある。ただ、正直なところ、特に目新しい洞察があるかといえば、そうでもない。 文庫というフォーマットながら、内容はやや硬い講義のような印象で、エッセイのような読みやすさを期待していた分、ちょっと肩透かしを食らった感がある。時代に求められるスキルについての議論は理解できるが、実際の自分の仕事にどう応用するか、という具体性に欠ける気がした。 悪い本ではないが、話題作の割には、もう少し突っ込んだ内容があってもよかったかなと思う。80年も生きていると、新しい概念も結局のところ、古い知恵の焼き直しではないか、という疑いが生じるのかもしれない。