新装版 限りなく透明に近いブルー
講談社 | 2009/04/01
みんなの感想
話題の本をチェックする習慣から、村上龍のデビュー作を新装版で手に取った。文学史に名を刻む傑作とのことだったので、かなり期待を込めて読み進めたが、正直なところ期待値ほどの衝撃は受けなかった。 確かに、米軍基地の街という独特の舞台設定や、退廃と希望が交錯する描写の鮮烈さは感じられる。時代的背景を考えれば、当時の読者にとっては革新的だったのだろう。綿矢りさの解説も秀逸で、作品の価値をあらためて認識させてくれる。 ただ、四十代の今読むと、若さの奔放さや虚無感の表現が、どうしても時代を感じさせてしまう。ストーリーの進み方も、現在の文学作品と比べると緩やかに感じた。それでも「金字塔」として読み継がれる理由は理解できる一冊だが、現在の読者にとって最高峰かといえば、そこまでではないというのが率直な感想である。古典として押さえておくには良い作品だと思う。
最近、新装版が話題になっていると聞いたので手に取ってみました。村上龍の『限りなく透明に近いブルー』です。もう随分前に出た作品だと思っていましたが、今なお読み継がれているというのは驚きですね。 福生という米軍基地の街を舞台に、若者たちの退廃的な日々が描かれているわけですが、これが実に生き生きとしている。作品全体を流れるあの独特の空気感は、五十年近く前とは思えません。むしろ時代を超えて、何か普遍的な人間の本質みたいなものを捉えているからでしょう。 新装版ということで改めて読んでみると、綿矢りさの解説も興味深い。同じ作家の視点から見た村上龍の世界というのも悪くない。当時デビュー作でこれだけの表現力を持っていたというのは、やはり文学史的に大きな出来事だったんだなと理解できます。 若い世代がこの作品をどう受け取るのか知りたくなるほど、今読んでも色褪せていない。私も話題の作品として、これは外せないと感じました。
村上龍のデビュー作ということで、文学史的な重要性を踏まえて手に取りました。芥川賞受賞作というプレッシャーもありながら読み進めたのですが、率直に言うと期待と現実のギャップを感じてしまいました。 1976年の作品とはいえ、現代の視点から見ると時代に限定された描写や表現が多く、その「衝撃性」を今更実感することの難しさがあります。福生の基地周辺という舞台設定や、退廃的な若者たちの日常は確かに当時革新的だったのだろうと理解できます。しかし、文体としては読みやすくても、内容的な深掘りや心理描写の奥行きには物足りなさを覚えました。 エンジニアの視点で言えば、この作品は「バージョン1.0」としての価値は認めざるを得ません。その後の村上龍の執筆活動の基礎となった作品ですし、文学界への影響力も無視できない。ただ、現在の我々が読むべき小説として判断すると、より磨かれた後続作の方が優れていると感じます。新装版は装幀が綺麗で読みやすいのは好印象ですが、内容面では「歴史的意義で評価する小説」という印象は拭えません。