西野亮廣のこの本、思いの外ためになりました。正直なところ、ビジネス書というと難しそうに感じていたんですが、この人の語り口は違いますね。映画化や舞台制作といった実際のプロジェクトを通じて、現代の働き方や事業の立ち上げ方を説いているから、とても具体的で分かりやすい。 嘱託社員として働いていると、つい目の前の仕事だけを考えがちなんですが、この本を読んでいると「もっと大きな視点で物事を見てもいいんだな」と気づかされます。完璧さを目指すより、まず動くこと。失敗を恐れるなという姿勢も、この年代になると清々しく感じます。 すべてに同意するわけではありませんが、日本人が忘れかけている何かを思い出させてくれる一冊。気軽に読めるのに、心に残るものがある。仕事の合間に少しずつ読み進めるのにも丁度良かったです。
最近登録された他の本の感想
2026年06月08日
朝井リョウの新作ということで、前作『正欲』の印象が良かったので手にしてみました。ただ、正直なところ、この本は自分には少し合いませんでした。 物語の設定自体は興味深いんです。生殖という根源的なテーマを扱い、独特の視点で人間を描こうとしている意図は伝わります。でも、読み進めるにつれて、その実験的な手法が逆に壁になってしまったというか。文体の工夫や表現の凝った部分が、かえって内容への没入を邪魔してしまった感じがするんですよね。 気軽に読書を楽しむのが好きな自分としては、もう少しストレートに物語の世界に入っていきたかった。途中で何度も、「ここはこう書いたら読みやすいのに」なんて考えてしまいました。 朝井リョウの力量は十分承知しているだけに、もう一度、より親しみやすい形での作品を読みたいと思います。この本が悪いわけではなく、単純に自分の好みと合致しなかっただけかもしれません。
2026年06月07日
綿矢りさの新しい作品だと聞いて、手に取ってみました。恋愛小説は得意な作家さんですが、今回はまた新しい領域に踏み込んでいるんですね。 リゾートでの出会いから始まる二人の関係性が、実に丁寧に描かれていて引き込まれました。最初は何気ない会話に見えるやり取りが、じわじわと意味を帯びてくる。その心理描写の巧さはさすがです。恋人との関係と彩夏への感情が交錯する逢衣の揺らぎが、とても人間らしくて好感が持てます。 同性同士の恋愛を描きながらも、根底にあるのは普遍的な「愛する」という感情なんだなと感じさせてくれる。派手さはないけれど、心の動きを丹念に追っていく文体が心地よい。上巻だけで満足できますが、下巻がどうなるのか気になって仕方ありません。 気軽に読める文庫版というのも、このごろの楽しみ方にぴったり。夏の夜に読むのに最適な一冊ですよ。
2026年06月06日
シリーズ8巻ともなると、もう登場人物たちとの付き合いも長くなってきました。VTuber業界を舞台にしたこの作品、初めは新鮮に感じていたのですが、最近は読み進めるのが少し義務的になってきたかな、というのが正直なところです。 今巻は業界内での対立や噂が主なテーマで、複雑な人間関係が絡み合っています。その辺りの描写は丁寧ですし、キャラクターたちがどう動くのかは気になります。ただ、事態が進展する様子をみていると、似たようなエピソードの繰り返しになっているような感覚もあります。 新人VTuberの登場や過去とのつながりといった要素は興味深いのですが、物語全体としては「まあ、こんなもんか」という感じ。退勤後にのんびり読むには悪くないですが、心を掴まれるほどの面白さはないですね。次巻でどう転開するのか、その程度の関心で続きを読むことになるのかな、という状態です。
2026年06月01日
最近、書店で見かけたこのタイトルに思わず手が伸びてしまいました。野球という自分も若い頃から愛してやまないテーマに、エッセイと小説が混在した作品という珍しい形式。どんな内容なんだろうと期待に胸をふくらませて読み始めたのですが、いやはや、素晴らしい。 著者のユーモアセンスが光っていて、野球への向き合い方がこんなに面白おかしく、かつ心温まる形で描かれるなんて。軽く読める文体でありながら、ところどころにきちんとした思索の深さが感じられるのが、この手の作品の魅力ですね。 何より、年を重ねた今だからこそ共感できる部分がたくさんありました。人生経験があるからこそ笑える場面、考えさせられる場面。朝の通勤電車や仕事の休憩時間にちょっと読むには本当に丁度いい一冊です。これまで気軽な読書を楽しんできた身としては、こういう気張らずに読める良質なエッセイ・小説はもっと増えてほしいくらい。強くお勧めできる作品です。
2026年06月01日
火花のあの衝撃から10年、綾野剛がついに新作を出版したというので手に取ってみました。相変わらず人間の本質をえぐり出す力が素晴らしい。 公認会計士という一見順調な人生を送る男が、高校時代の友人との借金問題から転落していくという筋立てですが、この作品の面白さは単なる人間ドラマではなく、その過程で露わになる人間の醜さと可笑しさをユーモアと一緒に描いているところです。自分たちも歳をとって、若い頃の仲間との関係がどう変わっていくのか、そういうことをリアルに感じさせてくれます。 嘱託の身になって改めて思うのですが、人生って本当に予測不能ですね。この本はそういう「生きることのやりきれなさ」を表現しながらも、どこか笑える空気感を保っています。重くなりすぎず、かといって軽くもない、その加減が絶妙。大阪の人情も感じられて、気軽に読めるのに考えさせられる、そんな一冊です。
2026年06月01日
孫たちと映画の話をする時に、最近のエンタメ情報を仕入れようと思って手に取りました。『シネマスクエア』は映画やドラマ、アニメなど幅広い作品を扱っているので、気軽に眺めるには丁度いいですね。 今号は映画化作品が結構載っていて、『名探偵コナン』や『ドラえもん』など昔から好きな作品の最新情報も分かるのが良いところです。佐久間大介という若い俳優さんの記事もあって、こういう新しい顔も知ることができます。 ただ、正直なところ、誌面の構成がやや散漫というか、目当ての情報を探すのに少し手間がかかるかなという印象も受けました。それに、掲載されている作品数は多いんですが、各々の記事が浅めなので、もっと詳しく知りたい時は別の媒体を見る必要もあります。 まあ、毎月定期的に映画やエンタメの流行を追いかけたい、という程度の使い方なら十分だと思います。仕事の休憩時間にパラパラめくるのに、気軽で良いですよ。
2026年06月01日
歴史小説というのは、知っている史実の中に新しい人物関係を見出す喜びがあるものだ。この作品もそれを存分に味わわせてくれた。パリの美術界という華やかな舞台を背景に、浮世絵商・林忠正とゴッホという実在の人物たちが織りなす物語。何度も耳にしている名前だが、こうして彼らの出会いと交流を丁寧に描かれると、全く新しい視点が開ける。 特に印象的だったのは、各登場人物の矜持と葛藤だ。異国で自分たちの美を売り込もうとする忠正の信念、そして認められない苦しみの中でも創作に向かい続けるゴッホの姿。兄を支え続けるテオの献身も含めて、男たちの愛と執念がひしひしと伝わってくる。文句なしに引き込まれ、寝る前のちょっとした時間でも続きが気になって徹夜してしまった。 気軽に読める文庫本としても手頃だし、こういう知的な満足感を得られる作品は、定年が近い身としてはありがたい。人生経験が増してからこそ響く深さがあると思う。
2026年06月01日
直木賞受賞作とのことで、ちょっと背伸びして読んでみました。正解でしたね。 大正から昭和へと移り変わる時代に、上野のカフェーで働く女給たちの人生を描いた作品です。正直なところ、「女給」という仕事についてここまで深く考えたことはなかったんですが、この小説を読むと、彼女たちがどれほど個性的で、したたかで、人間らしく生きていたかが伝わってくる。タイ子、セイ、美登里、園子——それぞれの女性が本当に愛おしい。 何より素晴らしいのは、文体の心地よさです。決して難しくないのに、読んでいて時代が蘇るような感覚。嘱託でまったり働く身としては、百年前の市井の人々の営みを静かに見つめるような読み味が、実に気に入りました。 時代小説というほど大げさなものではなく、でも歴史の重みもちゃんと感じられる。気軽に読みたい時にも、じっくり味わいたい時にも対応できる、良い一冊だと思います。
2026年06月01日
この本、一気読みしちゃいました。1978年の上京から80年代のバブル期へと向かう主人公・久雄の成長をたどる話なんですが、親の反対を押し切って東京へ飛び出すというその勇気だけで、もう引き込まれてしまいます。 嘱託社員の身としては、若い頃のあの迷いながらも前に進もうとする気持ちが懐かしくて、ページをめくるたびに胸がときめきました。あの時代の東京の空気感、キラキラしていながらもどこか儚い雰囲気が見事に表現されていて、読んでいて当時を思い出させてくれます。 直木賞作家というのも納得の筆致で、青春グラフィティというタイトル通り、眩しくて懐かしい時代の風景が蘇るような感覚。決して派手な物語ではないけれど、人間が大人になっていくその過程の微妙な心の揺らぎが丁寧に描かれているのがいい。気軽に読める文庫サイズも手に取りやすく、何度も読み返したくなる一冊です。
2026年06月01日
本屋大賞の上位作品ということで手に取ってみました。「なぜ小説を読むのか」という根本的なテーマを掘り下げた作品で、小説好きなら思わず頷いてしまう内容かもしれません。 正直なところ、期待値が高かっただけに、読み進めてみると可もなく不可もなくといった印象です。物語の構成や描写自体は丁寧で、読みやすいことは確かなんですが、何か心に残る深い感動までは届きませんでした。本の扱い方やエピソードは興味深いのに、全体としてはやや散漫な感じがしてしまって。 それでも、小説とは何か、読書とは何かを考えるきっかけになるという点では、そこそこ良い本だと思います。気軽に読める文庫本だし、隙間時間に読むのにちょうどいい。特に小説好きの人には、作者の思いが伝わってくるのではないでしょうか。自分としては、まあ読んで損ではないけど、特別な一冊とまではいかなかった、そんな感じです。
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