本と珈琲の本棚
水曜の朝、午前三時

水曜の朝、午前三時

蓮見 圭一 河出書房新社 2017年11月7日

感想

文庫本で気軽に読めるということで手にしたのですが、思いのほか心に残る作品でした。大阪万博という懐かしい時代設定も良かったんでしょう。叶わなかった恋という誰もが心のどこかに抱えているテーマを、二十数年という長いスパンで丁寧に描いているんです。 若い頃に失った愛する人のことを、その後の人生でずっと引きずってしまう。そういう切実な思いが、あますところなく綴られています。読んでいて、自分もかつて経験した後悔や未練が甦ってくるようでした。重い話なのに、なぜか最後まで一気に読めてしまう力強さがあります。 年を重ねた今だからこそ、こういう究極のラブストーリーの良さが理解できるのかもしれません。人生すべてが思い通りに進むわけではないこと、そしてそれでも前に進んでいくしかないことが、そっと心に届く。涙が出そうになりました。気軽に読める文庫という形式も、こういう深い内容だからこそ、多くの人に届きやすいんだろうなと感じます。

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