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マビノギオン

マビノギオン

中野 節子 筑摩書房 2026年2月12日

感想

この本を手にしたのは、アーサー王の物語の源流を知りたいという単純な興味からでした。正直なところ、ウェールズの古い伝承なんて難しいのではないかという先入観もありました。ところが、読み始めてみると、その懸念は杞憂に終わりました。 筑摩書房の完訳とあって、訳注が非常に丁寧です。神話時代の設定や登場人物の関係性がしっかり理解できるので、スムーズに物語の世界に入っていけます。何千年も前の言い伝えとは思えないほど、人物の営みや恋愛、冒険といった普遍的なテーマが息づいており、古さを感じさせません。 アーサー王伝説のルーツがここにあるんだなと実感できる喜びもありました。ペレドゥルの冒険談など、後世のロマンス文学へとつながる萌芽が随所に見られます。気軽に読む文庫本としては少し厚いですが、その価値は十分にあります。ウェールズの古き良き物語世界を堪能できる、実に味わい深い一冊です。