本と珈琲の本棚
感想

この本、一気読みしちゃいました。1978年の上京から80年代のバブル期へと向かう主人公・久雄の成長をたどる話なんですが、親の反対を押し切って東京へ飛び出すというその勇気だけで、もう引き込まれてしまいます。 嘱託社員の身としては、若い頃のあの迷いながらも前に進もうとする気持ちが懐かしくて、ページをめくるたびに胸がときめきました。あの時代の東京の空気感、キラキラしていながらもどこか儚い雰囲気が見事に表現されていて、読んでいて当時を思い出させてくれます。 直木賞作家というのも納得の筆致で、青春グラフィティというタイトル通り、眩しくて懐かしい時代の風景が蘇るような感覚。決して派手な物語ではないけれど、人間が大人になっていくその過程の微妙な心の揺らぎが丁寧に描かれているのがいい。気軽に読める文庫サイズも手に取りやすく、何度も読み返したくなる一冊です。