むしの本棚
死にがいを求めて生きているの

死にがいを求めて生きているの

朝井リョウ 中央公論新社 2022年10月21日

感想

朝井リョウの作品は好きなんだけど、この一冊は特別だった。仕事で疲れた夜、何気なく手に取ったら一気読みしてしまった。 複数の登場人物の視点が絡み合いながら、平成という時代を生きた若者たちの葛藤を描いているんだけど、その構成がすごく上手い。最初はバラバラに見える点と点が、やがて一本の線でつながっていく感覚。その瞬間の快感といったら。 「価値のある人間なの?」という問いかけは、38歳の今だからこそ心に響いた。平成を生きてきた自分たちが無意識に抱えてきた重さみたいなものが、この小説を通して言語化されるんだ。植物状態の智也と、献身的な雄介の関係も、単純な話じゃなくて、その奥底にある「歪な真実」が徐々に浮かび上がってくる。 エンジニアとして問題解決を仕事にしてるから、こういう複雑に絡み合った人間関係と時代性を丁寧に解きほぐす描写が本当に好きだ。気軽に読む小説として最高。心の中にずっと残るような一冊。

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