むしの本棚
感想

仕事も恋愛も家庭も、全部欲しい—そういう欲望ってタブー視されがちだけど、この作品はそこにちゃんと向き合ってる。シングルマザーの志絵が大学生の蒼葉との関係を娘に告げるシーンから始まるんだが、その後の家族の葛藤の描き方がすごくリアルだ。 エンジニアとして働いてると、人生って結構複雑な選択の連続だと感じるんだ。仕事か家庭か、みたいな二者択一じゃなくて、その間で揺らぎながら生きてる人間の方が圧倒的に多い。この小説は登場人物たちがまさにそういう「六、四」「二、八」で生きてる現実を丁寧に描いてる。 母親として、恋愛する大人として、作家として—志絵が複数の顔を持ちながら揺れ動く姿が、どこか必死で、でもどこか潔い。完璧さを求めない生き方の中に、むしろ人間らしさがあることに気付かされた。気軽に読める長編ながら、心に残る問題提起がある。最後まで引き込まれた。

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