天人五衰

天人五衰

三島 由紀夫

出版社:新潮社 出版年月日:2003/04/01

新潮社 | 2003/04/01

5.00
本棚登録:4人

みんなの感想

感想

三島由紀夫の『天人五衰』をようやく手に取りました。豊饒の海四部作の完結編ということで、かなり気合を入れて読み始めたのですが、期待通り—いや期待以上に素晴らしい作品でした。 四部作を通じて追ってきた登場人物たちの運命が、ここでどのように終幕を迎えるのか。その緊張感を保ちながら読み進めることができたのは、三島の筆力の賜物だと思います。輪廻転生というテーマを、単なる神秘的な設定ではなく、深い人間的な営みとして描ききった視点に、何度も息をのむほどでした。 文庫本という身近な形式だったのも良かったです。厚さがあるため気後れしていたのですが、いざ読み始めるとページをめくる手が止まりませんでした。仕事の疲れた帰路の電車の中でも、物語世界に完全に引き込まれることができた—そういう没入感は、この年代だからこそ実感できる貴重な経験かもしれません。 迷いながらレビューを参考に選んだ甲斐がありました。これからも注意深く本を選んでいきたいと改めて思いました。

感想

三島由紀夫の最後の長編『天人五衰』をようやく読み終わった。正直なところ、これまで三島作品に苦手意識を持っていたのだが、この本は違った。 豪華絢爛な世界観と、その中に潜む人間の本質的な衝動が絶妙に絡み合っている。登場人物たちが織りなすドラマは、一見すると華麗だが、よく読むと深刻な精神の危機を描いているんだ。エンジニアとして論理的に物事を考える習癖がある自分にとって、むしろそういう混然とした人間の欲望や矛盾を見つめる視点は新鮮だった。 文庫本という手軽なフォーマットも功を奏したのか、通勤時間や休憩時間にコツコツ読み進められた。章立てごとに観点が変わっていく構成も、飽きさせない工夫として感じられた。 終盤の不可思議な展開は、最初は理解に苦しむかもしれないが、そこがこの作品の核なんだと思う。三島という作家をあらためて評価し直すきっかけになった一冊だ。

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