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そして、バトンは渡された

そして、バトンは渡された

瀬尾 まいこ 文藝春秋 2018年2月22日

感想

話題作ということで、慎重に吟味した上で手に取ってみました。血の繋がらない親たちの間をリレーされた主人公の人生を描く設定は確かに興味深く、そうした複雑な環境にあっても愛されていたという基本テーマも悪くありません。 ただ読み進めてみると、予想していた以上に「良い話」にまとめられすぎている印象が否めません。確かに登場人物たちへの向き合い方は丁寧ですし、各エピソードも決して退屈ではないのですが、もう少し葛藤や違和感のようなものが欲しかった。人生とはこんなに優しいものでしょうか。 フリーランスの仕事をしていると、人間関係の複雑さを日々感じるわけです。もちろんそこに愛情があることもありますが、同時に打算や誤解、すれ違いといった現実もある。その点で、この作品は現実離れした感動に寄せすぎているように感じてしまいました。 良い小説であることは間違いありませんが、同時に「出来すぎた感動」という印象は消えません。人によっては素晴らしい作品と評価するかもしれませんが、私としては及第点というところです。