そして、バトンは渡された
文藝春秋 | 2018/02/22
みんなの感想
話題作ということで、慎重に吟味した上で手に取ってみました。血の繋がらない親たちの間をリレーされた主人公の人生を描く設定は確かに興味深く、そうした複雑な環境にあっても愛されていたという基本テーマも悪くありません。 ただ読み進めてみると、予想していた以上に「良い話」にまとめられすぎている印象が否めません。確かに登場人物たちへの向き合い方は丁寧ですし、各エピソードも決して退屈ではないのですが、もう少し葛藤や違和感のようなものが欲しかった。人生とはこんなに優しいものでしょうか。 フリーランスの仕事をしていると、人間関係の複雑さを日々感じるわけです。もちろんそこに愛情があることもありますが、同時に打算や誤解、すれ違いといった現実もある。その点で、この作品は現実離れした感動に寄せすぎているように感じてしまいました。 良い小説であることは間違いありませんが、同時に「出来すぎた感動」という印象は消えません。人によっては素晴らしい作品と評価するかもしれませんが、私としては及第点というところです。
仕事帰りの電車の中で一気読みしてしまいました。このページをめくる手が止まらなくなる感覚、久しぶりです。 血の繋がらない親たちの間をリレーされ、何度も名字が変わっていく主人公・優子。一見すると複雑で寂しい家庭環境なのに、読んでいると温かさで満たされていくんです。著者の視点がとても優しくて、人間関係の痛みと喜びの両方を丁寧に描いている。 エンジニアという職業柄、論理的に考えることが多い私ですが、この本は理屈じゃなく心で響く物語。優子が経験する様々な「家族」の形や、身近な人への向き合い方を読んでいると、自分の人生も大切にしなきゃって思わされます。 特に印象的だったのは、登場人物たちが優子をどう愛しているかの描き方。血の繋がりなんて関係ないんだって、改めて気付かせてくれる。日常の中にある幸せって、こういうことなんだと感じました。肩肘張らずに読める素敵な一冊です。
最近、このタイトルをよく見かけていて、気になったので読んでみました。正解でした。 七度の名字の変更を経験した主人公・優子。一般的には複雑で傷を持ちそうなバックグラウンドなのに、彼女の視点を通すと全然違う世界が見えるんです。血の繋がりじゃなくても、そこにはちゃんと愛があるんだなって。 特に良かったのは、短編のようなエピソード形式で話が進むところ。優子と関わる大人たちそれぞれの視点から彼女への想いを見ることで、一つの物語がいろんな角度から輝いて見えます。大学院の忙しい時間の合間に読むのにぴったりでした。 ただ、感動系と聞いていたから覚悟してたんですが、思ったより落ち着いた温かみがあって、泣きはしなかったかな。でも、読んだ後は確実に身近な人が愛おしくなっちゃいました。日々の学生生活の中で、こういう「人とのつながり」について考え直すきっかけをくれる本って、やっぱり貴重だと思います。
このタイトルを見かけたとき、なんだか惹かれるものがあって手に取りました。血のつながらない親の間をリレーされる主人公というコンセプトが、正直、どうくるのか予想できなかったんです。 読んでみると、その予想を良い意味で裏切られました。家族の形が多様であることって、今の時代にはリアルなテーマなんですが、この作品はそれを淡々と、でも温かく描いているんですよね。優子が四回も名字が変わるという劇的な設定なのに、ドラマティックになりすぎていない。むしろ、そのなかで彼女を支える人たちの想いが、じんわりと伝わってきます。 各章で視点が変わるところも秀逸で、同じ出来事でも違う角度から見える。登場人物たちの心の奥行きが感じられるんです。人文思想書を読むことが多い自分でも、物語を通じて人間関係の本質について考えさせられました。 ベストセラーになる理由がわかります。特別な事件が起きるわけじゃないのに、ページをめくる手が止まりません。「愛される」ことの意味が、静かに胸に落ちてくる。高校生の今だからこそ読んでよかった、そう感じる一冊です。