裕子の本棚
感想

YouTuberとしても活躍されているという雨穴氏の作品ということで、少し不安もありましたが、思い切って読んでみました。正解でした。 9枚の「変な絵」をめぐるミステリー、という設定がなんとも秀逸です。一見すると無関係に見える絵が、次々と事件と結びついていく過程で、ぐいぐいと物語に引き込まれてしまいました。各エピソードが丁寧に積み重ねられていて、最後にすべてが一つになる仕掛けは見事です。 ただ、ホラー作家とのことで、グロテスクな描写がないか事前に確認してから読みました。その点は思ったより抑制的で、むしろ心理的な恐怖に重きが置かれているようです。だからこそ、余韻が残るのかもしれません。 74年も生きていると、人生の不思議さや理不尽さを感じることが増えました。この作品はそうした想いに静かに寄り添ってくれる、そんな読み心地でした。文庫での重版も決まったようですし、落ち着いて読むなら文庫版を待つのも良いかもしれません。

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