裕子の本棚
感想

ボルヘスや澁澤龍彦といった大家たちに影響を与えた作家の短編集という触れ込みに惹かれて、慎重に選んで手に取ってみました。 全22編の短編が収められた本作ですが、正直なところ、すべてが私の心に響いたわけではありません。象徴主義的な表現は確かに独特で、凝った構成の作品も多いのですが、読んでいて「もう一度読みたい」と思わせるほどの強い印象を受けたものは限定的でした。 むしろ、何度も読み返してしまう短編と、一度読んで終わってしまう短編の差が大きいように感じられます。年を重ねた今、小説は物語の面白さだけでなく、心に響く何かが欲しくなるのでしょう。複雑な象徴表現よりも、人間の普遍的な感情に直結する言葉の力を求めているのかもしれません。 新訳と既訳が混在しているのも、作品によっての読みやすさに影響しているように思います。古典作品ゆえに味わい深い面もありますが、私のような齢の読者には、もう少し親しみやすい翻訳があれば、より楽しめたのではないでしょうか。