裕子の本棚
かがみの孤城

かがみの孤城

辻村 深月 ポプラ社 2017年5月9日

感想

話題になっていたこの本を、レビューをずいぶん読み比べてから購入しました。実在しない学園生活の辛さ、心が疲れた若い人たちへ向けた物語だろうと予想していたのですが、予想以上に深い内容で感動しました。 鏡をくぐった先の城というファンタジーの設定は、子どもにも大人にも共通する「逃げ場が欲しい」という心情をよく表現していますね。主人公こころをはじめとする七人の少女たちが、少しずつ心を開いていく過程がとても丁寧に描かれていて、読んでいて胸が詰まりました。 何より素晴らしいのは、最後に全てが繋がるときの構成です。仕掛けられた謎が明かされていく喜びと、その背景にある優しさに包まれます。生きづらさを感じている人、感じたことのある人なら、誰もが心に響く一冊だと思います。七十代になった今でも、こんなに心を揺さぶられる物語に出会えるとは。もっと早く読んでいればよかったと思うほどです。確かに一気読み必至ですね。