書店で見かけて、タイトルだけで何度も立ち止まりました。シンプルながらも心に引っかかるものがあって、思い切って手に取ることにしたんです。 読み始めてみると、二十歳という若い年代で両親を失い、人生の選択肢を失った主人公の話とのこと。そういった重い背景があるのに、物語全体には優しさが満ちているように感じました。コロッケを譲るという日常的な小さな行為が、人との繋がりや生きる道を開いていく様子が丁寧に描かれていて、とても素敵だなと思いました。 年を重ねた身からすると、人生というのは予想もしない出来事の連続なのだということをあらためて感じさせられます。この本は、そうした予測不能な人生の中でも、人と人の温かい関わりが如何に大切かを静かに教えてくれる作品だと感じています。 ただ、内容がやや抽象的なところもあり、すべての読者が同じように受け取るとは限らないかもしれません。それでも、心優しい読者なら必ず何かを感じ取れる本だと思いますので、気になる方には是非おすすめしたいです。
最近登録された他の本の感想
2026年08月08日
孫の勧めで、ついにワンピースを読み始めました。64巻まで来ると、もうすっかりこのストーリーの世界に引き込まれてしまいますね。 この巻は魚人島での戦いが本格化する場面ですが、何より驚いたのは、物語が単なる冒険譚ではなく、亡き王妃の想いや理想といった深いテーマを扱っているところです。子どもの頃に読む漫画とは違う、人間関係や信念といった大切なことが描かれています。 年を重ねた今だからこそ、このような話の奥深さが理解できるのかもしれません。登場人物たちが困難に立ち向かう姿勢も素直に応援したくなります。絵もとても丁寧に描き込まれていて、毎回新しい発見があります。 正直なところ、こんな年になって漫画にこんなに夢中になるとは思いませんでしたが、良い本に出会えてよかった。次の巻も楽しみにしています。
2026年08月06日
室井滋さんのエッセーとなると、きっと面白いだろうと期待して手に取りました。著名な方の日常に起こるちょっと不思議なことを綴るということですから。 実際に読んでみますと、短編9編とエッセー10編が収録されているのですが、どれもそこそこ興味深いものではあります。ホテルでの話や心霊写真の話など、確かに日常の中に潜む非日常を感じさせてくれます。ただですね、正直なところ、大変驚かされたとか、ぞくぞくっときたとか、そういった強い感動というものがあまりなかったのが実感です。 慎重に選書している身としては、もっと心に残る物語があればと少し期待していただけに、その点ではやや物足りなさが残りました。悪い本ではないのですが、著名な方だからこそ、もう少し深い洞察やインパクトのある内容があってもよかったのではないかと思います。落ち着いた時間に読む分には悪くはないのですが、積極的にお勧めしたいほどではないというのが正直な評価です。
2026年08月01日
正直申し上げて、このタイトルを見かけた時は、私のような年代には関係のない本だと思いました。しかし文庫という手に取りやすいフォーマットと、エッセイの要素があるというご紹介に惹かれて、試しに読んでみることにしたのです。 読み始めてみると、これが予想外に面白い。新卒で内定を取り消された若い社長が、AIを活用して起業を目指すというお話なのですが、現代のビジネスの現実が、どうしてこんなにも興味深く描かれているのか。筆者の方の等身大の声が聞こえてくるような感覚を覚えました。 私たちの時代にはなかった、スタートアップというものの世界観。AIという最新技術への向き合い方。そうした新しい時代のお話であるはずなのに、根底にある人間らしい葛藤や工夫、それから努力といったものは、今も昔も変わらないのだということが心に響きます。 世代の異なる私でも十分に共感できる内容でした。若い方はもちろんのこと、こちらの世代にも強くお勧めしたい一冊です。
2026年07月29日
累計370万部だという帯を見て、こんなに人気のある本なら安心して読めるだろうと手に取りました。正解でした。 竜崎という刑事と大物政治家をめぐる事件を描いた作品なのですが、非常によく計算された構成だと感じました。不審火から始まる事件が次々と複雑に絡み合っていく様を、著者がどう整理して読者に提示するのか、その手腕が見事です。権力者への忖度が捜査を阻む現代的なテーマも、押し付けがましくなく自然に組み込まれています。 何より竜崎というキャラクターが魅力的。我が身を顧みず真実を追い求める姿勢が、今の時代だからこそ輝いて見えます。ライバル・八島との緊迫した関係性も、話を引き締めています。 人気シリーズということでしたが、この作品から入っても十分面白く読めました。慎重に選ぶ私としては、多くの人に支持されている理由がよく分かります。最後までぐいぐいと引き込まれ、一気読みしてしまいました。今後も著者の作品を追ってみたいと思わせる、素晴らしい一冊です。
2026年07月20日
このシリーズも第6巻まで来たのですね。雇用制度をテーマにしたマンガということで、最初は少し難しいのではないかと心配していたのですが、良い意味で裏切られました。 図解と会話のやり取りを通じて、複雑な労働問題が実に分かりやすく描かれています。私自身、嘱託社員として働いているので、登場人物たちの悩みや疑問が他人事とは思えません。特に、キャリアの不安定さについての話は、じっくり考えさせられました。 マンガという媒体だからこそ、堅い理論も親しみやすく、つい続きが気になってしまいます。年配の世代にとっても、若い世代にとっても、現在の雇用環境について改めて考える良い機会になるのではないでしょうか。 これまでのシリーズを読んでいなくても楽しめますが、順を追って読むことでより深い理解が得られると思います。社会的なテーマを扱いながらも、エンタメ性を失わない作り込みに感心しました。多くの人に手に取ってもらいたい一冊です。
2026年06月25日
最近、恋愛小説といっても様々な形があるものだなと改めて考えさせられました。この本は複数の短編を収めた作品ですが、どれもが「恋とは何か」という根本的な問いかけを優しく突きつけてくるようです。 74歳になると、人間関係の複雑さについてもそれなりに見えてくるようになります。三角関係や同性愛、片想いといった様々な恋のかたちが、決して特殊なものではなく、ごく当たり前に存在していることに気づきます。著者がおっしゃる「ただひとつの特別な光」という表現が、とても素敵だと感じました。 文庫本という手軽さも良く、一編ずつ読み進められるのが、仕事帰りの疲れた時間にもちょうどいい分量です。ただし、心理描写が細かく込み入っているため、一度読むだけでなく、時間をおいて再び手に取りたくなるような深さがあります。 これからの人生で、人間関係について思い悩むことがあれば、そっとこの本を開いてみようと思います。
2026年06月24日
話題作ということで期待して手に取ったのですが、正直なところ、私にはちょっと合わせ難い作品でした。 ミステリーとしての仕掛けは確かに凝っていますし、美術館での殺人事件から始まる物語の運び方も工夫されています。ただ、登場人物の動きが慌ただしすぎて、心がついていけないんです。次々と現れる暗号や謎解きが続く中で、人物たちの感情や背景がほとんど見えてこない。誰を応援したらいいのか、何を重視すればいいのか、読んでいて不確かなままなのです。 また、美術や宗教史に関する講釈が長めに挿入される部分も、我慢強い方の私でも「ここまで詳しく必要だろうか」と思ってしまいました。そうした知識がストーリーを理解する上で本当に必須なのか、疑問が残ります。 上巻という位置づけなので、これからの展開に期待する部分もありますが、今のところ、続きを急いで読もうという気になっていません。丁寧な物語運びが好きな読者には、向き不向きが分かれる作品だと思います。
2026年06月20日
健康寿命のことを考えて、食事に気をつけようと思い手に取りました。タニタの社員食堂という信頼感があったのですが、実際に作ってみるとなかなか難しいところがありました。 レシピ自体は無理なくカロリーダウンできるよう工夫されていて、その点は評価できます。薬味や出汁を活かして味を落とさない工夫は参考になりました。ただ、私たち高齢者には少々問題があります。食材の下準備や調理工程が細かく、毎日31日分を回していくには正直な話、少し負担が大きいです。 また、使う調味料や食材も、田舎に住む私には入手困難なものが幾つかあって、代替案についての記載がもう少しあればよかったと思います。若い世代で時間に余裕のある方や、都市部にお住まいの方にはきっと向いている本だと思うのですが、私のような年代と生活環境には合致しませんでした。期待が大きかった分、残念な気持ちです。
2026年06月19日
図書館で見かけて、タイトルの「ドミノ」という言葉に惹かれて借りてみました。一見関係のない登場人物たちが、ちょっとした出来事を通じてつながっていくというストーリー設定は、確かに興味深いものです。 ただ、読み進めていくと、複数の視点が行き来して、少し話の流れを追いにくいなと感じました。生保会社の契約、子役の事件、大学生の推理など、いろいろなエピソードが絡み合うのですが、それぞれがどのように深く関係しているのか、最後までもう一つはっきりしない印象です。 文庫本ということで気軽に読めるのは良いのですが、もう少し各登場人物の背景や心情がじっくり描かれていれば、より引き込まれたのではないかなと思います。普通の人間ドラマを期待していた自分には、やや物足りなさが残りました。悪い本ではありませんが、わざわざ誰かに勧めるほどでもない、という感じです。
2026年06月10日
話題になっていたこの本を、レビューをずいぶん読み比べてから購入しました。実在しない学園生活の辛さ、心が疲れた若い人たちへ向けた物語だろうと予想していたのですが、予想以上に深い内容で感動しました。 鏡をくぐった先の城というファンタジーの設定は、子どもにも大人にも共通する「逃げ場が欲しい」という心情をよく表現していますね。主人公こころをはじめとする七人の少女たちが、少しずつ心を開いていく過程がとても丁寧に描かれていて、読んでいて胸が詰まりました。 何より素晴らしいのは、最後に全てが繋がるときの構成です。仕掛けられた謎が明かされていく喜びと、その背景にある優しさに包まれます。生きづらさを感じている人、感じたことのある人なら、誰もが心に響く一冊だと思います。七十代になった今でも、こんなに心を揺さぶられる物語に出会えるとは。もっと早く読んでいればよかったと思うほどです。確かに一気読み必至ですね。
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