雄一の本棚
感想

『高校事変』シリーズの前日譚ということで手に取ってみました。死刑囚の娘という重い背景を背負った少女が、小さな町の高校で事件に巻き込まれていく——なかなか興味深い設定です。 ただ読んでみると、期待と現実のズレを感じずにはいられませんでした。確かに設定は魅力的なのですが、物語の展開が駆け足気味で、登場人物たちの内面がもう一歩掘り下げられていないような印象を受けます。特に主人公・結衣の心情の変化が説明的に感じられ、少女の悲しみや怒りがもっと生々しく伝わってくるといいなと思いました。 青春バイオレンス文学と銘打たれている割には、暴力的な場面も含めて描写が控えめというか、もどかしさが残ります。自営業で時間に余裕がある身だからこそ、もっとじっくり人物描写に浸りたかった。本編への導入としては機能しているのかもしれませんが、この一巻だけで評価すると、完成度としては少し物足りないというのが正直なところです。