雄一の本棚
チンギス紀 十六 蒼氓

チンギス紀 十六 蒼氓

北方 謙三 集英社 2026年1月19日

感想

チンギス紀シリーズも随分と進んできたが、この巻は特に戦いの緊迫感が伝わってくる。ホラズム国の皇子ジャラールッディーンが初めて大軍を率いて、モンゴルの精強な将軍たちと対峙する場面は、読んでいて思わず身が入る。 北方謙三の筆致は相変わらず見事で、砂漠での激戦から皇子の心理描写まで、スケールの大きさと人間ドラマのバランスがいい。自営業をやっていると、どうしても経営や判断の部分に目が行くんだが、こうした歴史冒険小説では、指揮官としての器量や決断がどう戦局を左右するかが自然と引き込まれてしまう。 ただ、シリーズが長くなってきたせいか、登場人物が多くて関係図を忘れてしまう部分もある。でも気軽に読み返しながら進められるのが文庫版のいいところだ。歴史の大きな流れの中で、個々の武将たちがどう生き抜くのか。その手に汗握る展開は十分に堪能できた。次の巻も楽しみだ。

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