雄一の本棚
中国55の少数民族を訪ねて

中国55の少数民族を訪ねて

市川 捷護 / 市橋 雄二 KADOKAWA 2026年2月25日

感想

中国の奥深い山々に暮らす少数民族たちの生活を、これほどまでに生き生きと紹介した本は珍しい。1990年代という時代の空気感も大事で、急速な経済発展によって失われていく伝統文化をまさにその時点で記録に留めているという意味でも、この紀行文は貴重な財産だと感じた。 著者が各地の人々と直接交流する中で目撃した風景——恋愛の歌を交わし合う若者たち、儀式を執り行うシャーマンの姿、民族独自の楽器で奏でられる音色——こうした場面ひとつひとつが、丁寧な文章と豊富な写真で蘇らせられている。 自営業をしていると、どうしても日常の中で視野が狭くなりがちだが、こういった世界の広さを感じさせてくれる本に出会うのは本当にありがたい。決して難しくない文体で綴られているから、気軽に読み進められるのも魅力的だ。懐かしさと新鮮さが同時に感じられる、そんな読書体験ができた。

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