ゆーきの本棚
感想

最近話題になっていたので手に取ってみました。いやはや、これは素晴らしい。80年も生きていると、人間というものがわかったつもりになっていますが、この作品はそうした先入観を見事に打ち砕いてくれます。 監禁される女性アレックスという設定だけで判断すると、ありきたりなサスペンスかと思うでしょう。ところが物語が進むにつれ、次々と予想外の展開が襲いかかる。登場人物たちの心の奥底にある秘密や思惑が浮き彫りになっていく過程が実に巧妙です。 文庫本という手頃なサイズながら、心理描写の深さと物語の構成力は一級品。著者の筆力に引き込まれ、徹夜をしてしまいました。人生経験豊かなはずの私が、ここまで翻弄されるとは。 今、世間で話題になっているというのも納得です。同年代の友人たちにも薦めたい一冊。定年後の日々に、こうした知的興奮をもたらしてくれる本との出会いは、本当に贅沢なものだと改めて感じました。