最近話題になっていたので手に取ってみました。いやはや、これは素晴らしい。80年も生きていると、人間というものがわかったつもりになっていますが、この作品はそうした先入観を見事に打ち砕いてくれます。 監禁される女性アレックスという設定だけで判断すると、ありきたりなサスペンスかと思うでしょう。ところが物語が進むにつれ、次々と予想外の展開が襲いかかる。登場人物たちの心の奥底にある秘密や思惑が浮き彫りになっていく過程が実に巧妙です。 文庫本という手頃なサイズながら、心理描写の深さと物語の構成力は一級品。著者の筆力に引き込まれ、徹夜をしてしまいました。人生経験豊かなはずの私が、ここまで翻弄されるとは。 今、世間で話題になっているというのも納得です。同年代の友人たちにも薦めたい一冊。定年後の日々に、こうした知的興奮をもたらしてくれる本との出会いは、本当に贅沢なものだと改めて感じました。
最近登録された他の本の感想
2026年06月01日
最近、書店で話題になっている本をついつい手に取ってしまう癖がありますが、この第11巻も期待通りの出来栄えでした。 池田大作先生の著作とあって、人生哲学や信仰に関する深い思考が随所に散りばめられています。定年を迎えた身としては、これからの人生をいかに充実させるか、どう社会に貢献するかという問いに直面しているのですが、本書を読むと自分の在り方について考えさせられます。 文庫というコンパクトなサイズで、手軽に読み進められるのも年配の読者にはありがたい。登場人物たちが人生の様々な困難に向き合い、乗り越えていく姿は、長く生きてきた我々にも共感できる部分が多い。特に人間関係の構築や逆境への向き合い方については、人生経験の重みが感じられます。 シリーズを重ねるごとに物語の深度が増しているように感じられます。全巻を通して読み続ける価値は十分にあると、改めて確認できました。同年代の方々にもぜひお勧めしたい一冊です。
2026年06月01日
この本、新聞の書評欄で何度も目にしたものですから、一度は読んでみようと思っていました。本屋大賞受賞作というのも気になりましたし、何より成瀬あかりという主人公の名前からして、ただごとではない話が展開しそうだと直感したんです。 読み始めてみると、その直感は正しかった。閉店を控えた百貨店に通い詰める少女、お笑いコンビでM-1グランプリを目指す野心、坊主頭での高校入学式と、次々と繰り出される奇想天外な行動の数々。ありきたりな「青春小説」の枠組みを大きく超えた、爽快感に満ちた物語です。 成瀬のひたむきさと破天荒さが一体となった姿に、読んでいて思わず引き込まれてしまいました。私の時代にはこんな少女はいなかったな、と思いながらも、時代を超えた青春の本質が描かれているのが素晴らしい。二百歳まで生きるという目標も、荒唐無稽でありながら、どこか心がときめく夢の話なのです。 話題作という評判に違わぬ、読む価値のある一冊でした。
2026年06月01日
最近の話題作だと聞いて手に取ってみました。こういう逆転劇のファンタジーは、若い頃は読まなかったジャンルですが、今になって新鮮な面白さを感じますね。 神官の少女が不遇な状況から這い上がる姿が丁寧に描かれていて、つい応援したくなります。王子様との関係の進み方も、べたべたしすぎず程よい距離感で、読んでいて心地よい。この年になると、ファンタジーだからこそリアルでは味わえない幸福感を素直に受け取れるのかもしれません。 書き下ろし番外編が2本収録されているのも嬉しい配慮。本編で満足して、さらにこうした追加エピソードがあると、倍の満足感が得られます。コミカライズも予定されているそうで、それもなかなか興味深い。 文庫サイズで読みやすく、適度な長さも退職者にはちょうどいい。今どきこういう作品が支持を集める理由がわかる気がします。楽しい時間をくれた一冊でした。
2026年05月06日
太宰治賞を受賞した話題作ということで、手に取ってみました。オーストラリアの田舎町を舞台に、異なる境遇の二人の女性が出会い、関係を深めていく物語です。 サリマはアフリカからの難民、ハリネズミは自分の夢を後回しにして渡豪した日本人女性。一見すると全く異なる人生を歩んできた彼女たちが、職業訓練学校で英語学習を通じて繋がっていく過程が丹念に描かれています。 何しろこの年になると、人生の選択肢の重さというものが身に染みてわかります。夫について異国へ渡った女性、子どもを育てるため懸命に働く難民女性——それぞれが人知れず抱えているものの大きさに、じっと考えさせられました。 著者の視線は温かく、決して説教的ではありません。むしろ二人の小さな日常の会話や思考の中に、人間らしさが息づいているのが良い。話題作とはいえ、きちんと文学として完成した一冊だと思います。定年後、人生の後半戦に入った世代の方にも強くお勧めしたい作品です。
2026年05月06日
最近話題だというので手に取ってみました。宇宙飛行士が人類を救うというお話ですね。 正直なところ、科学的な説明がたくさん出てきて、私のような年寄りにはついていくのが大変でした。でも著者の想像力というか、こういう状況ならどうするか、という考え方は面白いと思いました。一人の男性がたった一人で宇宙でのミッションに挑むというのは、読んでいてハラハラします。 ただ、上巻を読み終わった今のところ、物語がどこへ向かうのかもまだはっきり見えず、人物描写も深いとは言えないような気がします。娯楽としての宇宙冒険小説として読めば、まあまあ楽しめるかもしれませんが、私が好きな人間ドラマや心情描写を期待していた分、少し期待外れでした。 下巻も読むべきか迷っているところです。もう少し、主人公の心の動きを知りたい気もします。
2026年05月06日
孫から「いま話題らしいよ」と勧められて手にした一冊です。正直なところ、こういった現代的なミステリーがどうなのかと懐疑的でしたが、読み始めたら思わず引き込まれてしまいました。 探偵の天草茅夢という人物が実に魅力的で、容姿も頭脳も料理の腕も優れているというのは、いかにも今どきの話ですが、それが自然に描かれているのが良い。各章の事件の謎解きも適度な難易度で、退職後の私でも十分に楽しめます。 何より気に入ったのは、このミステリーの随所に忍ばせられた「推し活」という現代的なテーマと、手作り料理という温かみが共存しているところです。八十歳の身としては、若い世代がこんなことを考えながら日々を過ごしているのかと、少し世間が見えた気もします。 文庫本という形式も読みやすく、一気に読み進められました。続編があるというのも嬉しい。世間で話題になっているのも納得できる、実に良くできた作品だと思います。
2026年05月06日
最近の流行りものをと思って手に取った一冊です。この類のファンタジー小説は、昨今の若者向けとでも申しましょうか、なろう系と呼ばれる作品から書籍化されたものですね。 読んでみると、次女が主人公という珍しい設定で、姉妹間のいざこざを避けながら自分の道を切り開こうとする姿勢は悪くない。冒険者ギルドで働きながら家を出るための資金を貯めるという現実的な目標も親近感が持てます。昔の小説とは違う、若い世代の価値観がよく表れているのだと感じました。 ただ申し上げると、お話としては目新しさにやや欠けるというのが正直な感想です。王子たちが主人公に好意を寄せるくだりも、ありがちな展開と言えばそれまで。加筆されたとのことですが、もう少し深みがあってもよろしかったのではないかと。 まあ、退屈しのぎにはなりました。話題の作品を確認しておくという意味では読む価値はあるでしょう。若い読者向けとしては楽しい作品かもしれませんね。
2026年05月06日
最近、書店でよく見かけるという小林正観さんの本ということで、手に取ってみました。人生論というのも、この歳になると改めて考えてみるのもいいかなと思ったからです。 ですが、読み進めていて残念ながらあまり心に響くものがありませんでした。「うれしい」「楽しい」といった肯定的な感情を大事にしましょうという主張は分かるのですが、その具体的な根拠や深い考察が乏しいように感じます。単なる精神論に終始しているのではないか、という気がしてなりません。 八十年も生きていますと、人生というのは思い通りにいかないことばかりです。そうした現実的な苦労や葛藤を踏まえたうえで、どうにかして前に進もうとする。その過程が大切なのではないでしょうか。この本はそうした人生の重みや深さに向き合うというより、気持ちの持ちようだけで何とかしようという風に読めました。 確かに話題の本かもしれませんが、私としては、もう少し人生経験に根ざした、噛み応えのある人生論を求めていたように思います。
2026年05月06日
この年になると、夢というものから遠ざかってしまうものだ。若い頃は野心に満ちていたけれど、人生経験を重ねるにつれ、現実的になるというか、諦めに近い感覚も芽生える。だからこそ最近、話題になっているこうした手帳術の本が気になって手にしてみた。 手帳に夢を書き、毎日それを眺めることで実現へ導くという考え方は、確かに悪くない。シンプルで分かりやすく、実行のハードルも低い。著者の主張に異を唱えるところはない。ただ、内容が予想の範囲を出ていないという印象は拭えない。既に知られている自己啓発の手法を、手帳という媒体を通して説いているだけという感じだ。 もう少し深い洞察があれば、80を過ぎた身でも心が動かされたのではないかと思う。とはいえ、退職後の人生に新しい目標を持ちたいという人には、入門書として良いかもしれない。人によっては十分な指標になるだろう。悪い本ではないが、特に秀でているわけでもない、という評価に落ち着いた。
2026年04月06日
最近の話題の本ということで手にとってみました。いやあ、実に面白い。これまで長く生きてきた私からすると、この作品の核にあるテーマがよく響きますな。 主人公のミラという女性が、自分の価値を低く見積もられて婚約を破棄されるところから物語が始まります。しかし彼女は決して落ち込まない。むしろそれを機に、自分の本当の才能を開花させていく。こういう逆転の人生というのは、人生経験が長くなった世代だからこそ、その重みが分かるんです。 特に良いのは、単なる復讐譚に陥らず、ミラが他者のために、国のために智恵を使っていく点ですね。魔法研究という非現実的な設定ながら、その本質は人間関係や社会貢献についての深い洞察に満ちている。 世の中から「つまらない」と評されても、実は磨かれていない才能を持っているという人生訓も含まれていて、読んでいて引き込まれました。若い世代はもちろん、我々の世代にとっても、人生の後半戦をどう生きるかという問いかけがある傑作です。
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