和子の本棚
感想

『このミステリーがすごい!』の受賞作と聞いて、期待を持って手に取りました。正解でした。 遺伝人類学を専門とする主人公が古人骨のDNA鑑定を通じて謎を追っていくという、一見するとアカデミックなテーマながら、ぐいぐいと引き込まれる面白さです。評判通り、文章の巧みさが光ります。情報の散らばせ方、読者を惑わすタイミングの計算、すべてが絶妙で、最後まで手放せませんでした。 特に印象的だったのは、専門的な知識を背景としながらも、決して堅苦しくない語り口。「ちゃぽん」という擬音ひとつにも工夫が感じられ、著者の丁寧さが伝わってきます。55年生きてきて、こういった知的興奮を覚える作品は珍しい。 謎の解き明かし方に一気読みしてしまいました。今、職場でも話題にしている本です。文庫本という手軽さも相まって、本好きなら必読の一冊だと思います。

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