和子の本棚
無芸大食大睡眠

無芸大食大睡眠

阿佐田哲也 集英社 1988年3月1日

感想

最近、SNSで話題になっていたこの本をようやく手に取りました。正直なところ、タイトルだけ見ると食い道楽の話かと思っていたのですが、これは素晴らしい時代の証言録ですね。 著者の人脈の広さに本当に驚きました。作家から俳優、漫画家、スポーツ選手まで、あらゆる分野の著名人との交流エピソードが次々と繰り出されます。昭和から平成にかけての文化人たちの素顔が垣間見え、それぞれの時代背景も浮き彫りになっていく。まるで自分も酒場で聞き耳を立てているような臨場感です。 特に良いのは、誰もが知る著名人たちが実は意外と人間らしいというか、親しみやすく描かれているところ。虚飾がなく、時には弱さも見える。そういう生々しさが、今のSNS時代には新鮮に感じられます。 軽妙な筆致で次々ページをめくってしまいました。同年代の私たちが経験した時代背景とも重なる部分があり、懐かしさと発見が同時に味わえます。これは今、読むべき本だと感じました。