世阿弥最後の花
出版社:河出書房新社
出版年月日:2024/08/06
河出書房新社 | 2024/08/06
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みんなの感想
室町時代の能楽師・世阿弥の最晩年を描いた作品。話題になっていたので気になって手に取りました。 流罪となり佐渡に送られた72歳の世阿弥が、その地でどう生きたのか——歴史の空白を想像力で埋める物語として、非常に秀逸です。著者の直感と創造力で描かれた父と子の関係が、ただ格調高いだけでなく、どこか普遍的な人間らしさを持っています。 幽玄の美学について語られる部分は難しいのではないかと最初は心配しましたが、むしろそれが物語に深みをもたらしていて。齢を重ねてなお進化し続ける世阿弥の芸への向き合い方は、何か心に響くものがあります。 文庫版ということで新しく加えられた推薦文も丁寧で、単行本との違いも感じさせます。歴史小説でありながら、現代を生きる私たちにも問いかけてくるような作品。仕事の合間に読むのにちょうど良い、品のある一冊でした。