和子の本棚
感想

話題になっていたので手に取った『ラッシュライフ』。正直なところ、最初は複雑な構成に戸惑いました。泥棒、自殺した父を持つ青年、不倫相手との再婚を考える女性カウンセラー、野良犬を拾う失職した男——一見バラバラな四つの物語が、どう繋がるのか見当もつきませんでしたから。 しかし読み進めるうちに、その複雑さこそが著者の狙いなのだと気付かされました。個人の執着や葛藤、人生の歪みが微妙に交差していく様は、まさに現代社会の混沌そのもの。機知に富んだ会話や予測不可能な展開に、つい先を急いで読んでしまいます。 特に印象に残ったのは、登場人物たちが皆どこか現実離れしていながらも、妙に人間らしい執着を持っていることです。会社員生活の長い私には、そうした「ズレ」がどこか身近に感じられて、くすりと笑わされたり、ドキリとさせられたりしました。 寓話のような、騙し絵のような——その言葉通りの一冊です。重厚さと軽妙さが同居した読み心地は、なかなか味わえるものではありません。

ブクログからブクマへ
かんたん引っ越し

読書記録や感想をそのまま移行。
数分の準備で、ブクログの本棚をブクマへ。

詳しく見る
ブクログからブクマへの引っ越しイメージ