和子の本棚
感想

最近話題になっていたこの作品、ついに手に取りました。昭和初期の大阪を舞台にした温かみのあるエッセイだと思っていたのですが、読み進めるにつれて、その奥深さに引き込まれてしまいました。 日常のささやかな風景描写——ラジオ体操、銭湯、唱歌——一つひとつが本当に丁寧で、当時を生きた人たちの息遣いまで聞こえてくるようです。何気ない日々のなかに戦争という時代背景が静かに、しかし確実に影を落としているところが、この本の最大の魅力だと思います。 特に印象深かったのは、男女の人生観の違いについて書かれた部分です。55年生きてきた私だからこそ、その率直で痛切な指摘に胸が痛みました。文学的な美しさと社会的な鋭さが両立しているって、こういうことなんだと。 文庫本というお手ごろな形態も嬉しい。身近に置いて、何度も読み返したくなる一冊です。同年代の女性たちにもぜひ読んでほしいと思いました。

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