和子の本棚
感想

昨年から話題になっていたこの作品、ようやく文庫化されたので手に取ってみました。死者との再会を叶える「ツナグ」という不思議な存在を通じて、生と死、そして人間関係の本質を問い直す連作形式の小説です。 各章で登場する人物たちの物語は一見別々のようでいて、共通する「心の奥底にしまい込んだ想い」が丁寧に描かれています。突然失われた大切な人、言えなかった言葉、後悔の念——誰もが心のどこかに抱えている感情が、静かだけれど力強く響いてきます。 特に印象的だったのは、再会という奇跡が必ずしも救いをもたらすとは限らないという視点です。むしろ、その一夜の邂逅を通じて登場人物たちが自分自身と向き合い、前に進もうとする姿勢が素晴しい。涙ぐましい感情のやり取りもありますが、押し付けがましくない優しさが全編に満ちています。 息子世代とも世代を超えて共感できる内容で、職場でも話題になっているのが納得できます。読んでよかった、そして誰かに薦めたくなる良作です。

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