生きとるわ

生きとるわ

又吉 直樹

出版社:文藝春秋 出版年月日:2026/01/28

文藝春秋 | 2026/01/28

4.00
本棚登録:13人

みんなの感想

感想

『火花』から10年、新たな代表作とのことで期待をかけて手に取ったのですが、正直なところ期待値とのギャップを感じてしまいました。 確かに人間の本質的な「闇」を描こうとする姿勢は伝わってきます。借金という現実的な問題を通じて、人間関係の脆さや自己欺瞞のメカニズムに迫ろうとしているのでしょう。しかし、その描写が時に冗長で、登場人物の心理描写も深掘りが足りないように感じました。 また、笑いと悲しみの両立を狙っているはずなのに、どちらかといえば重たいテンションが続くだけで、その調和がうまく取れていない印象を受けます。人生の不条理さを伝えるためには、もう少し洗練された表現手法が必要だったのではないでしょうか。 読み応えのある作品ではありますが、同じ著者の評判作と比べると、やや力不足感が否めません。人文書を好む身としては、もう少し思想的な深さがあれば、評価も変わったかもしれません。

感想

『火花』から10年、著者がどんな作品を書くのか気になって手に取った。結論から言うと、期待以上だった。 表面的には「借金」という身近なトラブルから始まる話なのだが、そこから展開する人間関係の泥臭さと、それでいて不意に訪れる笑いのバランスが絶妙だ。エンジニアとして論理的に考える癖がついている自分でも、岡田という主人公の選択肢の狭さ、そして逃げられない感覚にぐいぐい引き込まれた。 特に印象的だったのは、登場人物たちが「生きる」ことの重みと軽さを同時に背負っているように見えるところ。完璧に見える人生も、ほんの些細なことで狂い始める。その過程が決して教訓的ではなく、ただただ人間くさく、時にはばかばかしく描かれている。 現実的な視点を持つ読者なら、この作品の中で複数回「あ、これはわかる」と思うはずだ。決して明るい話ではないが、それでも読み終わった後に残る感覚は悪くない。むしろ、人間というものへの理解が少し深まったような気がする。慎重に選ぶ派の私でも、自信を持って薦められる一冊だ。

感想

話題になっていたこの作品、ようやく読み終わりました。『火花』以来10年ぶりという綾野剛の新作ということで、期待値も高かったのですが、期待を大きく上回るできばえです。 500万円の貸金をめぐって展開していく物語なのですが、単なる金銭トラブルの話ではなく、人生とは何か、人間関係とは何かという根本的な問いかけが随所に散りばめられています。主人公・岡田の日常の息苦しさ、そして横井との関係の中で揺らぎ始める価値観。その過程が本当に丁寧に描かれていて、読んでいて思わず考えさせられました。 特に印象的だったのは、「生きるとは、こんなにもやりきれなくて、おかしい」というコピーの通り、人生の理不尽さと同時に、そこにある笑いや温かみを同時に表現している点です。55歳を過ぎた私たちの世代だからこそ、この作品の深さが身に染みて感じられるのかもしれません。人生の後半戦を考えるいい機会をくれた一冊です。

感想

火花から10年、又吉直樹がこんな作品を書いてくるとは。読み始めたらもう止められませんでした。 高校時代の友人との借金トラブルから人生が急転直下する——これだけ聞くと重い話に思えるんですが、そこが面白い。窮地に追い込まれていく主人公の岡田が、なぜか笑わせてくれるんですよ。人間のもろさと、そこからはみ出す何とも言えない逆転劇。仕事で論理的に考えることが多い身としては、こういう「理屈じゃない部分」で人生って動いてるんだなって改めて実感させられました。 道頓堀での再会シーンから物語が加速していく緊張感も最高です。貸した金を取り戻そうとする岡田の必死さと、その過程で見えてくる人間関係の複雑さ。「生きる」ってこういうやりきれなさとおかしさが混在してるんだなと。エッセイのような感覚で読める小説作品、本当に久しぶりに出会った気がします。気軽に手に取ったら予想以上に引き込まれました。

感想

火花のあの衝撃から10年、綾野剛がついに新作を出版したというので手に取ってみました。相変わらず人間の本質をえぐり出す力が素晴らしい。 公認会計士という一見順調な人生を送る男が、高校時代の友人との借金問題から転落していくという筋立てですが、この作品の面白さは単なる人間ドラマではなく、その過程で露わになる人間の醜さと可笑しさをユーモアと一緒に描いているところです。自分たちも歳をとって、若い頃の仲間との関係がどう変わっていくのか、そういうことをリアルに感じさせてくれます。 嘱託の身になって改めて思うのですが、人生って本当に予測不能ですね。この本はそういう「生きることのやりきれなさ」を表現しながらも、どこか笑える空気感を保っています。重くなりすぎず、かといって軽くもない、その加減が絶妙。大阪の人情も感じられて、気軽に読めるのに考えさせられる、そんな一冊です。

感想

又吉直樹の新作ということで手に取ってみた。『火花』から10年、相変わらず人間のやりきれなさに向き合う作家だなという印象だ。 主人公の岡田は会計士という堅実な職業についているのに、高校時代の友人・横井との関係から徐々に泥沼へ。この設定が実に巧みで、誰もが身に覚えのある「人間関係の複雑さ」が丁寧に描かれている。借金という俗臭い題材なのに、そこから人生の本質的な問題が浮かび上がってくるあたり、さすがである。 何より面白いのは、絶望的な状況の中にもユーモアが息づいていることだ。笑うべきか悶々とするべきか、その葛藤の中に人間らしさがある。自営業をしていると、こうした複雑な人間関係に直面することも多いから、余計にリアルに感じられた。 完璧さを求めすぎず、ダメさを抱えながら生きることの大切さが伝わってくる。気軽に読める一冊でありながら、読後もしばらく考えさせられる。そういう余韻が好きだ。

感想

又吉直樹さんの『生きとるわ』を読み終わりました。『火花』以来の新作ということで期待していましたが、いい意味で期待を裏切られました。 高校時代の友人との借金トラブルから始まるこの物語、一見するとダークなテーマなのに、読んでいて思わず笑ってしまう場面がたくさんあるんです。人間のドロドロとした部分と、そこにある種の滑稽さを同時に見せる力って、本当にすごいなって感じました。 主人公・岡田の「順調に見える人生」が次々と崩れていく様子は、他人事とは思えない迫力があります。自営業をしている身としても、人間関係のもつれがビジネスに及ぼす影響って、本当に侮れないんですよね。その緊張感がずっと続く。 それでもこの本から感じたのは、人生ってやっぱり予測不可能で、その中で何とか足掻いて生きていくしかないんだな、という諦観と覚悟みたいなものです。暗いだけじゃなくて、どこか温かみがある。だから最後まで一気読みできてしまいました。自分の人生を改めて考える、いい機会をもらった気がします。

感想

火花から10年という期待値が大きかっただけに、正直なところ複雑な感想です。 岡田と横井という旧友の関係性を軸に、人間の弱さや執着を描く試みは興味深いのですが、物語が進むにつれて「結局どこに向かっているのか」という問いが頭をもたげました。闇と笑いを両立させるというコンセプトは理解できますが、その融合が完全に成功しているとは言い難い。笑いのパートと深刻なパートが時々ちぐはぐに感じられる箇所がありました。 フリーランスの視点から言うと、お金を巡る人間関係のもつれについては非常にリアルで、他人事ではない緊迫感がありました。その点は評価できます。ただ、キャラクターの心理描写がもう少し掘り下げられていれば、より強い共感を持てたのではないか、という惜しさが残ります。 慎重に選んで読むタイプの身としては、事前の評判ほどの衝撃を受けませんでしたが、悪い本ではありません。読んで損したとは思いませんが、積極的に他人に勧めるほどでもない、というのが正直な感覚です。

感想

話題作ということで、慎重に評判を調べてから手に取りました。『火花』から10年経っての新作ということですが、正直なところ、期待値と実際のギャップを感じてしまいました。 主人公が借金をめぐるトラブルに巻き込まれていく過程は、確かに人間関係の複雑さを描いているのですが、どうにも息苦しさばかりが先に立ってしまいます。笑いと闇を両立させた作品というふれこみでしたが、読んでいて心がときめくような瞬間は少なかったように思います。 人生経験の長い身としては、こういった泥沼の状況は現実でも起こりうることだと理解します。ですから描き方が不正確というわけではありません。ただ、小説として読むときに、もっと希望や温もりが欲しくなってしまいました。文体は読みやすく、引き込まれる部分もありますが、全体としては可もなく不可もない、という印象です。 誰もが気に入るわけではないかもしれません。人生観や感受性によって、評価は大きく変わる作品だと思います。

感想

又吉直樹が『火花』から10年をかけて書き上げた新作だと聞いて、すぐに手に取りました。正直、期待値は高かったんですが、それを裏切らない仕上がりに感心しました。 公認会計士という肩書きで順調に見える主人公が、高校時代の友人への貸金500万円がきっかけで人生が狂っていく。この古典的なモチーフながら、又吉の手にかかると全く新しい話になる。人間の弱さと愚かさが次々と積み重なっていく様子が、悲劇とも喜劇ともつかない不思議な緊張感で描かれています。 会社員として生きていると、誰しも予期しない出来事に足をすくわれる恐怖を感じることがあります。この本はその恐怖を言語化し、どこか笑わせてくる。人生のやりきれなさと、そこに存在する「笑い」の両立が本当に上手い。 読み終わって思うのは、これは単なる娯楽小説ではなく、現代を生きる大人が直面する問題への問いかけだということ。話題作として読む価値は十分にあります。

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