生きとるわ
文藝春秋 | 2026/01/28
みんなの感想
火花から10年、又吉直樹がこんな作品を書いてくるとは。読み始めたらもう止められませんでした。 高校時代の友人との借金トラブルから人生が急転直下する——これだけ聞くと重い話に思えるんですが、そこが面白い。窮地に追い込まれていく主人公の岡田が、なぜか笑わせてくれるんですよ。人間のもろさと、そこからはみ出す何とも言えない逆転劇。仕事で論理的に考えることが多い身としては、こういう「理屈じゃない部分」で人生って動いてるんだなって改めて実感させられました。 道頓堀での再会シーンから物語が加速していく緊張感も最高です。貸した金を取り戻そうとする岡田の必死さと、その過程で見えてくる人間関係の複雑さ。「生きる」ってこういうやりきれなさとおかしさが混在してるんだなと。エッセイのような感覚で読める小説作品、本当に久しぶりに出会った気がします。気軽に手に取ったら予想以上に引き込まれました。
火花のあの衝撃から10年、綾野剛がついに新作を出版したというので手に取ってみました。相変わらず人間の本質をえぐり出す力が素晴らしい。 公認会計士という一見順調な人生を送る男が、高校時代の友人との借金問題から転落していくという筋立てですが、この作品の面白さは単なる人間ドラマではなく、その過程で露わになる人間の醜さと可笑しさをユーモアと一緒に描いているところです。自分たちも歳をとって、若い頃の仲間との関係がどう変わっていくのか、そういうことをリアルに感じさせてくれます。 嘱託の身になって改めて思うのですが、人生って本当に予測不能ですね。この本はそういう「生きることのやりきれなさ」を表現しながらも、どこか笑える空気感を保っています。重くなりすぎず、かといって軽くもない、その加減が絶妙。大阪の人情も感じられて、気軽に読めるのに考えさせられる、そんな一冊です。
又吉直樹さんの『生きとるわ』を読み終わりました。『火花』以来の新作ということで期待していましたが、いい意味で期待を裏切られました。 高校時代の友人との借金トラブルから始まるこの物語、一見するとダークなテーマなのに、読んでいて思わず笑ってしまう場面がたくさんあるんです。人間のドロドロとした部分と、そこにある種の滑稽さを同時に見せる力って、本当にすごいなって感じました。 主人公・岡田の「順調に見える人生」が次々と崩れていく様子は、他人事とは思えない迫力があります。自営業をしている身としても、人間関係のもつれがビジネスに及ぼす影響って、本当に侮れないんですよね。その緊張感がずっと続く。 それでもこの本から感じたのは、人生ってやっぱり予測不可能で、その中で何とか足掻いて生きていくしかないんだな、という諦観と覚悟みたいなものです。暗いだけじゃなくて、どこか温かみがある。だから最後まで一気読みできてしまいました。自分の人生を改めて考える、いい機会をもらった気がします。
火花から10年という期待値が大きかっただけに、正直なところ複雑な感想です。 岡田と横井という旧友の関係性を軸に、人間の弱さや執着を描く試みは興味深いのですが、物語が進むにつれて「結局どこに向かっているのか」という問いが頭をもたげました。闇と笑いを両立させるというコンセプトは理解できますが、その融合が完全に成功しているとは言い難い。笑いのパートと深刻なパートが時々ちぐはぐに感じられる箇所がありました。 フリーランスの視点から言うと、お金を巡る人間関係のもつれについては非常にリアルで、他人事ではない緊迫感がありました。その点は評価できます。ただ、キャラクターの心理描写がもう少し掘り下げられていれば、より強い共感を持てたのではないか、という惜しさが残ります。 慎重に選んで読むタイプの身としては、事前の評判ほどの衝撃を受けませんでしたが、悪い本ではありません。読んで損したとは思いませんが、積極的に他人に勧めるほどでもない、というのが正直な感覚です。
又吉直樹が『火花』から10年をかけて書き上げた新作だと聞いて、すぐに手に取りました。正直、期待値は高かったんですが、それを裏切らない仕上がりに感心しました。 公認会計士という肩書きで順調に見える主人公が、高校時代の友人への貸金500万円がきっかけで人生が狂っていく。この古典的なモチーフながら、又吉の手にかかると全く新しい話になる。人間の弱さと愚かさが次々と積み重なっていく様子が、悲劇とも喜劇ともつかない不思議な緊張感で描かれています。 会社員として生きていると、誰しも予期しない出来事に足をすくわれる恐怖を感じることがあります。この本はその恐怖を言語化し、どこか笑わせてくる。人生のやりきれなさと、そこに存在する「笑い」の両立が本当に上手い。 読み終わって思うのは、これは単なる娯楽小説ではなく、現代を生きる大人が直面する問題への問いかけだということ。話題作として読む価値は十分にあります。