和子の本棚
感想

職場の同僚が勧めてくれた本です。話題の吉川英治文学新人賞受賞作ということで、つい手に取ってしまいました。 江戸の菓子屋「南星屋」を舞台にした短編集ですが、これが本当に素敵な作品です。繁盛店の裏側にある人々の複雑な人間関係、言葉にならない想い、そして優しさが丁寧に描かれています。武家の身分を捨てて職人になった主人・治兵衛を中心に、出戻り娘のお永、看板娘のお君といった登場人物たちが、ふっと心を開く瞬間が本当に良い。 私たちの年代だからこそ、共感できる部分が多いのかもしれません。親子の絆、人生の選択、やり直すことの大切さ——そういったテーマが、菓子という和やかな素材を通じて自然に伝わってくるんです。 読み味が本当に絶品という帯の言葉に偽りなし。短編ながら一つ一つが奥深く、装丁も美しい文庫本。今月のイチオシです。

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