読書好きおじさんの本棚
きげんのいいリス

きげんのいいリス

トーン・テレヘン / 長山 さき 新潮社 2018年4月26日

『ハリネズミの願い』で話題となったテレヘン作家の幻の名作とのことで、さっそく手に取ってみました。 これは本当に素敵な作品です。気のいいリス、頭の重いアリ、夢見がちなゾウ……各々の個性的などうぶつたちが織りなす物語は、一見すると童話のようでありながら、大人が読むと深く心に響きます。会社でもアリのように知識の重みに押しつぶされそうになることがありますし、時にはリスのような気のよさが必要だと感じさせられます。 特に印象的だったのは、登場するどうぶつたちが決して完璧ではないということ。不器用で、悩んで、時には失敗する。その誠実な姿勢がとても好きです。43年も生きていると、完璧さよりもそういう不完全さの中に人間らしさや魅力があることに気づきます。 短編のような構成で読みやすく、お風呂の時間に何度か手に取りたくなる温かさがあります。今、話題の本として注目されているのも納得。トレンドで見かけたからではなく、本当に価値のある作品として多くの人に愛されるといいなと思います。