雄一の本棚
感想

長年、世界史の謎についてもやもやしていた疑問がこの一冊で氷解しました。なぜ西洋がアジアを征服し、その逆ではなかったのか。そうした根本的な問いに、ジャレド・ダイアモンドは壮大なスケールで答えてくれます。 驚くべきは、その説明の論理的清晰さです。進化生物学から言語学まで、複数の学問領域の知見を積み重ねながら、地域間の「格差」が実は文明の優劣ではなく、地理的条件に大きく左右されたものだと丁寧に論証していく。慎重に読み進める私のような読者にも、納得感が得られる構成になっています。 文庫化されたことで手に取りやすくなったのは喜ばしい。上下巻という構成ですが、一冊一冊が適切な分量で、中年の忙しい生活の中でも無理なく読み進められました。ピュリッツァー賞受賞の名著とうたわれるだけの価値がある。歴史や人類の発展に関心のある方には、ぜひお勧めしたい一冊です。