雄一の本棚
神さまのビオトープ

神さまのビオトープ

凪良 ゆう 講談社 2017年4月20日

凪良ゆうの『神さまのビオトープ』を読み終わりました。本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』の原点ということで、期待を込めて手に取ったのですが、率直に申し上げると、可もなく不可もない、という印象に落ち着きました。 「幸せのあり方」というテーマそのものは興味深く、世間一般の「正しさ」に縛られた人々の秘密と救済を描く設定も悪くありません。ただ、その展開が予想の範囲内に収まってしまう感があり、読み進める中で特別な驚きや感動を受けませんでした。 主人公うる波と夫の幽霊という独特の設定も、物語の中核として十分に活かしきれていないように感じます。むしろ周囲の登場人物たちの秘密に焦点が当たり、個々のエピソードはそれぞれ丁寧に描かれているものの、全体として有機的につながっているという手応えが不足しているのです。 文章は読みやすく、テーマへの向き合い方も真摯ですが、54年生きてくると、人生における「歪さ」や「秘密」についての考察も、どこか既視感を拭えません。若い世代の読者にはより響く作品なのかもしれません。大賞受賞作『汝、星のごとく』も気になりますが、こちらの経験から判断すると、手放しではお勧めしにくいところです。