神さまのビオトープ

神さまのビオトープ

凪良 ゆう

出版社:講談社 出版年月日:2017/04/20

講談社 | 2017/04/20

3.67
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みんなの感想

凪良ゆうの『神さまのビオトープ』を読み終わりました。本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』の原点ということで、期待を込めて手に取ったのですが、率直に申し上げると、可もなく不可もない、という印象に落ち着きました。 「幸せのあり方」というテーマそのものは興味深く、世間一般の「正しさ」に縛られた人々の秘密と救済を描く設定も悪くありません。ただ、その展開が予想の範囲内に収まってしまう感があり、読み進める中で特別な驚きや感動を受けませんでした。 主人公うる波と夫の幽霊という独特の設定も、物語の中核として十分に活かしきれていないように感じます。むしろ周囲の登場人物たちの秘密に焦点が当たり、個々のエピソードはそれぞれ丁寧に描かれているものの、全体として有機的につながっているという手応えが不足しているのです。 文章は読みやすく、テーマへの向き合い方も真摯ですが、54年生きてくると、人生における「歪さ」や「秘密」についての考察も、どこか既視感を拭えません。若い世代の読者にはより響く作品なのかもしれません。大賞受賞作『汝、星のごとく』も気になりますが、こちらの経験から判断すると、手放しではお勧めしにくいところです。

凪良ゆう先生の作品は『汝、星のごとく』で話題になってから気になっていて、今回この『神さまのビオトープ』を手に取りました。 夫の幽霊と暮らす主人公・うる波という設定だけで、もう惹きこまれてしまいます。最初は不思議なファンタジーかと思ったのですが、読み進むにつれて、社会的な「正しさ」に縛られた人々の内面がこんなに繊細に描かれているのかと感動しました。 この本が伝えたいことって、多様な幸せのかたちについてなんだと思います。世間一般では「歪み」と呼ばれるような人間関係や生き方も、その人にぴったり合っていれば、それは誰にも否定される筋合いのないものだという視点。42年生きてきた私だからこそ、その柔軟さと温かさに心がほっこりしました。 秘密を抱えた登場人物たちの描き方が本当に丁寧で、一人ひとりに向き合いたくなる気持ちになります。話題の本というだけでなく、人生経験が必要な小説だと感じました。ぜひ多くの人に読んでもらいたい一冊です。

凪良ゆうさんの新作ということで、話題になっているうちに読んでみました。正直、最初のページから引き込まれました。 夫の幽霊と暮らす主人公・うる波の日常を軸に、彼女を取り巻く人たちの秘密が丁寧に描かれていく。世間一般の「正しさ」からはみ出た人たちが、それでも懸命に生きる様子が心に響きます。 何より素晴らしいのは、作者が登場人物たちを決して裁かないこと。夫の幽霊という設定は奇想天外ですが、そこから紡ぎ出される人間関係や感情は非常にリアルで、深く考えさせられました。主夫生活で日々感じる「幸せって何だろう」という問いに、こっそり答えをくれる一冊です。 「歪なものなのかは誰にも決められない」というフレーズがずっと頭に残っています。これからも凪良ゆうさんの作品を追いかけたいと思わせてくれた、本当に良い読書体験でした。