月と蟹
出版社:文藝春秋
出版年月日:2013/07/10
文藝春秋 | 2013/07/10
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みんなの感想
直木賞受賞作という触れ込みに惹かれて読んでみましたが、正直なところ期待値とのギャップを感じてしまいました。 少年たちの夏の思い出を描いた作品として、儚くも切実な世界観は確かに伝わってくるのですが、物語全体に漂う陰鬱さが終始重く、最後まで気持ちが浮上しません。話題作だからこそ、もっと普遍的な感動や人間らしい温かさを期待していたのかもしれません。 文章は丁寧で情景描写も細やかなのですが、登場人物たちの心情の動きが時折判然とせず、読みながら「ここで何が起きているのか」と少し困惑することもありました。深い余韻が残るというのが売り文句のようですが、私の場合は違和感と物足りなさが残ってしまった、という印象です。 同年代で文学好きな友人たちの間では好評のようですし、感じ方は人それぞれなのだと思います。ただ個人的には、やや難しさと陰鬱さが先に立ってしまい、もう一度読み返したいとは思えませんでした。話題作だからこそ、自分に合うかどうかは事前にしっかり見極めた方が良いかもしれません。