孫の大学選びの相談を受けたのがきっかけで手に取った本だが、予想以上に興味深い内容だった。 昨今の大学評価は偏差値だけが独り歩きしているような気がしていたので、90以上のテーマから多角的に大学の実力を測るというアプローチは実に理にかなっている。就職率や研究業績といった従来の指標はもちろん、AI教育やジェンダーへの取り組みといった現代的課題まで網羅されているのは、時代の要請をしっかり受け止めている証だろう。 自営業を営む身として、人材育成の観点から各大学がどのような教育を施しているのかを知ることは、採用の際の判断材料としても価値がある。巻頭の有識者対談も示唆に富んでいて、単なるランキング表の羅列ではなく、教育の今を考えるきっかけとなった。 若い世代が大学を選ぶ際、この本が示す多様な視点を持つことで、より主体的な選択ができるようになるのではないか。話題になるだけあって、読む価値は十分にある。
最近登録された他の本の感想
2026年06月01日
最近の若い世代に人気だという西尾維新の『化物語』を手に取ってみた。話題の作品だからと思って、80歳の身でもついつい新しいものに目を向けてしまう悪い癖である。 読んでみると、これは正に若者向けのライトノベルだ。怪異という古くからある題材を現代の高校生活に絡ませた設定は工夫されている。主人公の阿良々木君と次々現れるヒロインたちとのやり取りも、若い読者にとっては楽しいのだろう。会話が多く、テンポよく進む構成も、この手の作品としては上手だと感じた。 ただ、正直なところ私には消化しきれない部分が多い。独特の文体や造語、ポップな表現は現代的ではあるが、読み進めるのに少なからぬ労力が必要だ。さらに言えば、ストーリーとしての深さや、人生経験を積んだ身として響く何かが、正直言って足りない気がする。 悪い作品ではないし、企画の面白さもわかる。ただ世代が違うということだろう。これは若い読者こそが真の評価者だと思う。私が手に取るには、やはり少々畑違いだったか。
2026年06月01日
新・人間革命も第25巻まで来たか。長く愛読しているシリーズだが、この巻は特に心に響くものがあった。 自営業を営む身として、人生の様々な局面で決断を迫られることが多い。本書で描かれる主人公の歩みを読んでいると、困難に直面した時こそ、いかに信念を持って前に進むかが大切なのだと改めて感じさせられる。経営判断に悩んだ時、人間関係に思い悩んだ時、こうした物語の中の言葉や思想が、実に良き指針となってくれるのだ。 80年の人生経験を重ねてなお、新たな発見や学びを与えてくれる作品というのは本当に貴重である。文庫という手軽なフォーマットで、いつでも手に取って読み返すことができるのも利点だ。人間としてどう生きるべきか、その本質を問い続ける著者の姿勢に、深い尊敬の念を覚える。 話題の本として世間で読まれているのも納得できる。若い世代だけでなく、人生経験を積んだ者こそ味わえる深みがある秀作だと思う。
2026年05月06日
最近の話題作とのことで手に取ってみた。就活を控えた大学生たちの内面を描いた作品だという。わたしの時代とは随分と世相が変わったものだ。 小説としての構成はしっかりしており、登場人物たちの葛藤や自問自答の様子が丁寧に描かれている。若い世代が何を考え、何に悩んでいるのか、そうした現代の空気感を感じ取ることができた。著者の観察眼は鋭い。 ただ、正直なところ、これといって心を揺さぶられることもなかった。人生経験が違うせいかもしれないが、登場人物たちの悩みが自分の実感からは少し遠く感じられたのだ。若い読者には違う印象を持つだろう。 話題作として一度は読んでおく価値はある。新潮社の力の入れようも伝わってくる。良い本ではあるが、特に秀でた傑作という程ではなく、およそ及第点といったところだろうか。自営業で長年世を渡ってきたせいか、もう少し人間の本質に迫る描写を求めてしまう。
2026年05月06日
新聞広告で目に入った『教団X』を手に取ったのは、最近世間を騒がせている話題作だからでした。80年も生きていると、巷の噂だけで判断するのは危ういと気付きますが、これは本当に読む価値のある傑作でした。 カルト教団という重いテーマながら、著者は単なるドキュメンタリー的な描写に止まりません。登場人物たちの心の奥底に潜む光と闇を見事に描き出し、読者を深い思考へと導きます。教祖という絶対的な悪とされる存在さえも、複雑で多面的に描かれており、人間とは何か、信仰とは何かを問い直させられました。 自営業で長く社会と関わってきた身として、組織と個人、権力と従属という関係性についても考えさせられました。著者が仕上げたという圧倒的最高傑作というふれ込みは決して過言ではなく、これは令和の時代に送られた重要な問題作です。80を過ぎた今だからこそ、人生の経験を通してこの物語の奥行きを感じられたのかもしれません。
2026年05月06日
最近話題になっているというので手にとってみたが、正直なところ首をかしげてしまった。80年の人生で商売をやってきた私だからこそ言えるのだが、こういった「簡単に儲かる」という謳い文句ほど危ういものはない。 AIが優秀だからといって、市場の変動を完全に予測できるわけではあるまい。3カ月で174万円という具体的な数字で目を引かせるやり方も、商売をしていた身としては営業手法そのものに見える。短期的な利益を強調し、失敗した場合のリスク説明が十分とは思えない。 株の知識がなくても大丈夫と言いながら、実際には金銭が絡む判断をさせられるわけだ。AI活用法を学べるのは良いとしても、投資という本質的に危険な行為には慎重さが欠かせない。若い世代を含め、この本を鵜呑みにする人が出ないことを祈る思いだ。実用書として見た時の説得力が、残念ながら足りない。
2026年05月06日
テレビドラマが話題になっていたから、これは読まねばと思って手に取りました。文庫本も出ましたしね。80年も生きていると、若い人たちの青春というものを忘れかけていますが、この本を読んでそういう時代があったことを思い出させてくれました。 定時制高校の生徒たちが科学の実験に真摯に取り組む様子が本当に素晴らしい。年をとった身としては、あんなふうに何かに夢中になれる心情が羨ましくもあり、頼もしくもあります。火星のクレーター再現という地味だけど奥深い実験を通じて、生徒たちの人間関係が少しずつ変わっていく過程が丁寧に描かれている。 著者の人物描写の力量には感心しました。それぞれが異なる事情を抱えた生徒たちが、教室という限られた空間で互いにぶつかり、支え合う。そこに生まれる小さな奇跡というのが、説教くさくなく自然に描かれているところが良い。定時制というテーマも現代的で、あらゆる年代が楽しめる青春小説だと思います。話題作というのは伊達ではありませんね。
2026年04月06日
綿矢りさの新作とあって、さっそく手に取ってみました。80歳になると、こうした最新の話題作がどんなものか、やはり気になるものです。 女性同士の恋愛を描いた作品というのは、今の文学界でも話題性が高いようですね。この作品も、そうした現代的なテーマを扱いながら、人間関係の微妙な心理描写が実に丁寧です。初対面での違和感から、やがて深まっていく二人の関係性を追うことで、読者は自然と物語に引き込まれていく。綿矢りさの筆力はやはり確かなものです。 長年、商売をやってきた経験からすると、人と人の関係というのはいつでも複雑で予測不可能なものです。この小説もそうした人間の本質的な部分に切り込んでいるように感じます。若い読者ばかりでなく、人生経験を積んだ世代にも十分に読み応えがある作品だと思いますね。上巻ということで、下巻も楽しみにしているところです。
2026年04月03日
娘たちに「今時のライトノベルも悪くないよ」と勧められて、この『かくりよの宿飯』シリーズを読み始めたのだが、第三巻に来てますます面白くなってきた。妖怪の宿屋を舞台にした設定も独特だし、キャラクターたちの掛け合いが実に良い。 今巻はライバル宿の連中が乗り込んでくるということで、これまで以上に賑やかになっている。銀次の過去の仲間たちや、暁の師匠といった新しい登場人物たちが、いい味を出しているんだ。昔の仕事仲間との再会という設定は、年を重ねた私にもぐっと来るものがある。誰もが何らかの過去を背負い、それでも前に進もうとしている──そういう人間臭さが、この作品の底流にはちゃんと流れている。 葵という"鬼嫁"のキャラクターも秀逸で、その彼女も今巻でも好きに振り回されている様子が、これまた楽しい。話題作というのは何か理由があるものだと改めて実感した。孫たちとも話題が合いそうだ。
2026年04月02日
この本を孫娘が実家に来た時に見つけて、一緒に眺めていたんだが、これは実に面白い。わしのような年配者でも、子どもたちとの旅行を計画する際の参考になるなあ。 何より良いのは、単なる観光地の羅列ではなく、実際に子どもを連れて旅をしたママたちのリアルな声が随所に入っていることだ。長年自営業をやってきたわしの経験からすると、こういう現場の声というのが一番信用できる。子どもがどこで退屈するのか、どういう工夫があると親も楽しめるのか、そういった実践的な知恵が詰まっている。 また、モデルコースが複数用意されているのが素晴らしい。初めての子連れ旅から沖縄リゾートまで、様々なパターンが示されているから、孫たちとの旅も計画しやすくなった。わしら世代は時間に余裕があるのが強みだから、この本を参考にして子どもたちにとって最高の思い出をつくってやりたいと思う。 話題の本は次々と出るが、こういった実用的で心がこもった一冊は長く愛用されるだろう。お薦めできる本だ。
2026年03月27日
80歳にもなると、人生で様々な考え方に出会ってきたが、この本は実に興味深い。東洋哲学を現代的に解釈した内容で、難しいはずの思想が驚くほど分かりやすく説かれている。著者の「超訳」というアプローチが効いているのだろう。 自営業で長年、人間関係や経営判断の中で生きてきた身からすると、孔子や老子、仏教の考え方がいかに実用的かが改めて理解できた。「自分とか、ないから」というタイトルも、一見すると禅的で不可思議だが、読み進めるにつれて腑に落ちる。執着を手放すことの大切さ、ありのままに生きることの自由さ——これは長年の経験則と合致する。 今の世の中、若い人たちは生きづらさを感じているという話をよく聞く。そんな彼らにとって、この本は羅針盤になるのではないだろうか。論理的でありながら、どこか人間らしい温かみもある。話題になるのも納得である。人生の総仕上げの時期だからこそ、こういう本に出会えるのは幸いだ。
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