孫がゴルフを始めたというので、話題のゴルフ漫画だということでこの巻を手に取ってみました。とんぼというキャラクターが難しいコースに挑むという設定は面白いのですが、正直なところ、私のような年寄りには少々物足りない感じがします。 ゴルフの技術的な描写そのものは悪くないのですが、漫画としてのストーリー展開がやや単調に感じられます。毎回似たようなパターンの試合描写が続いていて、61巻にもなると流れが予測できてしまうんですね。若い世代には新鮮かもしれませんが、長年様々な本を読んできた身としては、もう少し意外性や深さがあってもいいのではないかと思います。 登場人物たちの成長過程は一応追えますし、ゴルフに興味がある人なら十分楽しめるでしょう。ただ、シリーズものの宿命かもしれませんが、ここまで来ると新しい魅力を感じるのが難しくなっています。孫には勧めてみようと思いますが、私自身は別の本へと進もうかと考えています。
最近登録された他の本の感想
2026年09月03日
最近、こういう人情味あふれる小説が出ているんだなと感心させられた。 自営業をやってきた身としては、人と人とのつながりの大切さというのは、嫌というほど理解している。この本は葬儀場を舞台にしながら、そうした人間関係の本質を丁寧に描いている。漆原という主要人物のキャラクターが非常に魅力的で、毒舌ながらも遺族に真摯に向き合う姿勢に引き込まれた。 著者が夫の闘病と死別を経て五年かけて書いたという背景を知ると、一編一編の物語に重みが感じられる。単なる感動小説ではなく、死別という誰もが経験する人生の岐路について、そっと手を差し伸べるような優しさがある。スカイツリーの近くという現代の東京を舞台にしながらも、古き良き人情が息づいている点がいい。 八十になった今だからこそ、こうした作品の価値がよくわかる。無理な感動狙いではなく、自然な形で心を揺さぶられた。文庫本というのも手に取りやすくていい。
2026年07月07日
ハーンの著作は若い頃から愛読しているが、この新編は本当に素晴らしい。新訳ということで最初は少し心配だったが、むしろ現代人にも読みやすくなっており、かつ詩情を失っていない。八十年も生きていると、ハーンが百三十年以上前に感じた日本への驚嘆と敬愛がいっそう身にしみてわかるようになった。 松江の風景、出雲大社での厳粛な体験、日本人の微笑の謎まで、彼が西洋人の目で捉えた我々の国の本質的な美しさは今も色褪せていない。むしろ、高度成長とその後の変化を経験した私たちだからこそ、ハーンが拾い集めた日本の面影の貴さが深く感じられる。 昨今いろいろな新刊をチェックしているが、この古典の新しい装いは、人生の最後の時間を味わい深く過ごすのに最適だ。ゆっくり、繰り返し読む価値のある一冊である。
2026年06月30日
最近の文芸誌でも話題になっていたので、手にとってみた。中央公論新社の文庫という点も、ちょうどいい。 この作品は実に不思議だ。一見すると奇想天外な設定が並んでいるが、読み進めるうちにそれらが緻密に編み上げられた迷宮のようなものだと気づく。時計塔のある街を舞台に、死や喪失、そして人間のあり方が静かに問い直されている。 息子を亡くした母の悲しみ、鞄職人が心臓を採寸するという詩的で妖しい情景——こうした一見ばらばらな物語が、実は深いところで繋がっている。連作短篇という形式も巧みで、全体を通して読むと、その構築の妙に舌を巻く思いがする。 長く自営業をしてきたからか、人間関係の機微や心理の奥底にあるものに惹かれる。この著者の清冽な筆致は、そうした複雑な感情を見事に言葉にしている。若い頃とは違う視点で読む小説の面白さを改めて感じさせてくれた一冊だ。
2026年06月28日
久しぶりに江戸川乱歩を手に取った。今どきの話題の本もいいが、やはりこうした古典の傑作は何度読んでも色褪せないものだ。 「黒蜥蜴」はかねてから気になっていた作品だったが、この文庫版で改めて読み返してみると、実に見事な構成だ。美しき女賊と名探偵明智小五郎の対峙という、歴史的な舞台設定の中で、犯罪者と探偵が単なる敵対関係ではなく、何か微妙で複雑な感情が流れ始める。その心理描写の巧みさに、思わず唸ってしまった。 乱歩の筆致は相変わらず洗練されており、登場人物たちの思惑が絡み合う様が実に興味深い。商売人として長年やってきた身には、登場人物たちの綿密な計算と戦略に、現実の駆け引きとの共通点も感じられて興味深かった。 これからもこうした古い傑作を折に触れて読んでいきたいと思う。現代の流行も大事だが、時代を超えた面白さというものを忘れてはいけないと改めて感じさせてくれた一冊だ。
2026年06月15日
孫が「これは本当に面白い」と熱く勧めてくれたのが、この『映画暗殺教室ー卒業編ー』との出会いでした。正直なところ、最初は若い世代向けのメディア化作品かと思っていたのですが、手にとってみて驚きました。 タコ型の怪物が教師という奇想天外な設定なのに、話を進めるにつれて深い人間ドラマが浮かび上がってくる。落ちこぼれだと烙印を押された生徒たちが、一人の変わった教師との関係の中でどう成長していくのか。その過程が実に丁寧に描かれている。80年を生きてきた私でも、思わず引き込まれてしまいました。 特に「卒業編」というタイトルの通り、終わりに向かう物語の緊張感と、そこに込められた友情や別離への向き合い方が素晴らしい。若い読者だけでなく、人生の終幕を意識する年代の者にとっても、心に残るメッセージが詰まっていると感じました。今どきの話題作を読むつもりが、思わぬ収穫を得た一冊です。
2026年06月13日
孫の勉強に付き合うようになってから、世の中の教科書がずいぶん変わっていることに気づかされた。そこで手に取ったのがこの本である。 正直なところ、中学理科など久しく忘れていたが、この改訂版は実に親切だ。左ページの解説がとにかくシンプルで、80にもなると目が疲れるのだが、オールカラー化のおかげで図表が見やすく、理解しやすい。右ページの書き込み問題も無理のない量で、頭に落とし込みやすい。 自営業で長年やってきたが、実は物理や化学の基礎知識があると、仕事の判断にも役立つことがある。大人の学び直しにも適していると謂われるだけあって、この年代が基礎から丁寧に学べる参考書は貴重だ。学習管理シールまでついているとは、細かい気配りが感じられる。 昨今、何かと話題の「リカレント教育」というやつか。いつまで学ぶのかと思いきや、結構面白い。この一冊で理科への向き合い方が変わった気がする。
2026年06月10日
最近、生成AIの話題がどこかしこかで聞こえてくるので、その流れで手に取ってみた。「世界観をつくる」というタイトルに惹かれたのもある。 読んでみると、確かにビジネスとクリエイティブの接点について、俊英二人が丁寧に説いている。情報を意味づけし、それを価値に変えていくという考え方は、自営業を長くやってきた身としても納得できる部分がある。ただ、正直なところ、特に目新しい洞察があるかといえば、そうでもない。 文庫というフォーマットながら、内容はやや硬い講義のような印象で、エッセイのような読みやすさを期待していた分、ちょっと肩透かしを食らった感がある。時代に求められるスキルについての議論は理解できるが、実際の自分の仕事にどう応用するか、という具体性に欠ける気がした。 悪い本ではないが、話題作の割には、もう少し突っ込んだ内容があってもよかったかなと思う。80年も生きていると、新しい概念も結局のところ、古い知恵の焼き直しではないか、という疑いが生じるのかもしれない。
2026年06月09日
芥川賞を受賞した話題作とあって、さっそく手に取ってみました。吃音という障害を通じて、世間一般とは異なる生き方を貫いた叔父の人生を描いた作品ですが、これが実に味わい深い。 著者の言葉選びの丁寧さに驚かされます。凡庸な言葉への嫌悪という共感しがたいテーマを、丹念に掘り下げていくうちに、読み手も主人公と一緒に深い思索へと導かれていく。人生八十年も過ぎた身からすると、「世の通念から身をかわし続ける」という叔父の生き方には、ある種の潔さを感じます。 選考委員たちが激賞した理由も納得できます。何度も読み返したくなる構成の妙、各エピソードの輝きようは、確かに並の新人作ではない。自営業で好き勝手に生きてきた者として、世間的には奇行と映るかもしれない人生の選択肢を、これほど丁寧に描いた小説は珍しい。 現代文学の新しい可能性を感じさせる傑作です。あちこちに隠された発見を探しながら、もう一度読み返してみようと思っています。
2026年06月09日
このシリーズがニューヨーク・タイムズのベストセラーで話題になっているというので、つい手に取ってしまった。80を過ぎた身ですが、こういった流行りの作品をチェックするのは習慣になっています。 下巻は期待通りの面白さでした。魔法と冒険という設定は若い頃から好みの題材ですが、この作品の秀逸なところは、単なる派手なアクションに留まらず、登場人物たちの絆や葛藤がしっかり描かれている点です。ヴァイオレットが愛する者たちを守るために苦悩し、戦う姿は、年配の読者にも心に響きます。 未知の島々での冒険も、未知との遭遇という人生経験を重ねた自分にとって新鮮でした。若い頃には感じられなかった深さが、この物語にはある。シリーズ完結に向けての盛り上がりも見事で、最後まで一気読みしてしまいました。 こういう話題作を読むと、世界がまだ広がっていることを感じさせてくれる。自営業で忙しい日々ですが、時には身を任せて物語の世界に浸るのも良いものです。
2026年06月09日
最近、映画『サブイボマスク』の話題が耳に入ってきたので、この小説版も手に取ってみました。脚本家自らがノベライズしたということで、どのような仕上がりになっているのか興味深かったのです。 読み始めると、春雄という一風変わった主人公の熱い心情が、ページをめくるたびに伝わってきます。過疎の町という少し重いテーマを扱いながらも、この男の前向きな姿勢と周囲との関わり方が、自然と読み手の心も温かくしていくんです。八十年も生きていると、世間の醒めた風潮を目にすることばかりですが、こうした素直な人情ものは本当に貴重だと感じます。 脚本が小説化されたせいか、登場人物たちの内面描写がより丁寧に描かれていて、映画とはまた違う味わいが得られるのが素晴らしい。文庫本のコンパクトなサイズも、この年になると目にも優しく、どこにでも持ち運べるのがありがたい。 感動コメディとはいえ、人と人とのつながりの大切さをあらためて考えさせてくれる良い作品です。話題作ということで読んでみて正解でした。
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